年度も終盤に差し掛かっていますが、おそらくは来年度も、「働き方改革」と称して、会社からの「残業を減らせ」「生産性を高めよ」といった声は高まると思います。

 しかし残念ながら、そう簡単に残業は無くなりませんし、生産性もすぐに高まるわけではありません。今回は、ついついいつもどおり残業してしまう、ビジネスパーソンの“残業心理”に目を向けていきたいと思います。

 

なぜ働き方改革は不評なのか?

 「働き方改革」の影響で、多くのビジネスパーソンは、経営のトップや人事部から、残業を減らすよう言われることが増えているかもしれません。その一方で、「成果を下げずに、どうやって時間を短縮すれば良いの?」と、不満を持っている人も多いでしょう。実際、私が講演やコンサルティングで企業を訪問すると、生産性を上げることに否定的な意見を持つ社員さんに出会うことがあります。

 生産性向上を阻む最大の心理的要因は、「いつも通りが安全」という深層心理の抵抗によるものです。いつも通りのペースで、いつも通りの人たちと、いつも通りのやり方でやったほうが、安心・安全・安定が保たれるのです。

「改革」と名のつくものに対し、「いつも通り」を変えられる当事者の反発は大きいもので、多くの場合、もっともな理由をつけて、「いつも通り」の正当性をアピールします。その背景には「いつも通りを崩したくない」という心理があります。

 この根底にある「いつも通りが安全」という心理への理解がなければ、自分の働き方の習慣を変えるのは難しいものです。人間は知らず知らずのうちに、深層心理で「いつも通りを維持することで安全・安心・安定を感じたい」ということを求めてしまうものです。

 働き方改革や業務効率化を推進する際には、この前提を理解することが重要です。「いつもと違うやり方で働くことで、切迫感やリスク、批判を感じたくない」という心理が、改革のネックになるのです。

 残業を減らすために、メソッド本を読んだりして、効率化を学習する人もいるでしょう。しかし本当にネックとなるのは、先に挙げたような無意識にある心理です。それこそが私たちの働き方のパターンを左右しています。

 氷山モデル(第70回参照)でいえば、表面に見えていることとその深層構造に着目することが重要です。自分の心理に目を向けることで、「つい残業になってしまう“残業心理”」が見え、真の意味での働き方改革、業務効率化に着手できるというわけです。

 

残業心理その1:「未完了感」を残したくない

 それでは、つい残業をしてしまう“残業心理”とは一体何なのか。その要因は複数ありますが、今回は5つに分けて紹介します。

 まず最初は「未完了感」です。未完了感とは… 続きを読む

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古川 武士

古川 武士

習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役

関西大学を卒業後、日立製作所などを経て06年に独立。約2万人のビジネスパーソンの育成と、約500人の個人コンサルティングの経験を元に、習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。個人向けの習慣化支援、企業への行動定着支援を行っている。著書に『30日で人生を変える「続ける習慣」』、『新しい自分に生まれ変わる「やめる習慣」』『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』など17冊、70万部がある。

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