「つい、食べ過ぎてしまう」、「お酒を飲み過ぎてしまう」、「テレビをだらだら見てしまう」、「ネットサーフィンが止まらない」、「夜更かしをしてしまう」……。
数え上げればキリがない、「悪い習慣」。やめたいのに、なぜハマってしまうのでしょうか?
「ジャンクフロー」という習慣
まず大前提として、私たちの心は「苦痛を避けて、快感を得たい!」という本能に引き寄せられるようにできています。本能は快楽や快感を得たいと叫んでいて、それを獲得することは不自然なことではありません。
問題は、その快感の獲得の仕方なのです。
「作業工程」などを意味する「フロー」という言葉は、心理学用語では「没頭状態」という「時を忘れる活動」を意味しています。フロー状態にある私たちは快感を得ていますが、ここに「健全なフロー」と、「不健全なフロー」があることに注意しなければいけません。ジョギングのランナーズハイもフロー状態であり、パチンコで激しい刺激を得ることも、ドカ食いして至福を得ることも、テレビを見て束の間の現実逃避をして笑うことも、フローです。
ここで、刹那的な快感に過ぎず、長期で続けると身体や経済、人間関係を壊すフローを「ジャンクフロー」と呼びましょう。私たちが思う「悪い習慣」とは、つまりは「刹那的な快感の追求」であり、積み重ねると悪い結果になってしまう行動と定義できます。 ネットサーフィンが悪い習慣なのではなく、適度にコントロールできていれば、健全な楽しみとしてのフローです。しかし、寝不足になるまでやってしまうのではジャンクフローと言えるのです。
では「やっぱり健全なジョギングがいいな!」となるかというと、そうではないでしょう。ジョギングの習慣を考えてみてください。習慣化していないうちは、疲れて帰宅してジョギングするのは苦痛です。外は寒いし、ウェアに着替えるのも面倒だし、見たいテレビはあるし。
つまり、「苦痛を避けて、快感を得たい!」の法則からすれば、ジョギングは苦痛です。ランナーズハイに至るまでは道のりが遠いのです。刹那的にみれば、少なくとも今日の感情的な報酬だけを考えれば、テレビの方が快感です。
ジャンクフローにハマる3つの要因
以上の例から、ジャンクフローが身についてしまう要因を、3つに整理してみましょう。
【1】快感の獲得のしやすさ
悪い習慣、ジャンクフローの特徴として見えてくるのは、「獲得のしやすさ」です。つまり、快楽を得るための手っ取り早い方法なのです。食べることは、一日3回の他に仕事をしながら、帰ってから、そして深夜などに簡単に手に入る快感です。タバコは喫煙所に行けばすぐに手に入る快感ですし、パチンコ屋… 続きを読む