「時計ではなく、コンパスを見よ」と言ったのは『7つの習慣』の著者、スティーヴン・R・コヴィー博士です。毎日は忙しく、時間との戦いです。しかし、幸せに生きるためには、「心のコンパス」を見ることが大切です。それと共に内省することで、人生の目的や働きがいが見つかります。
充足感を得るためには、自分の「根源的欲求」を知ること
幸せに生きるためには、心の「充足感」と「平安感」を得ることです。私たちの性格や資質は、簡単に変えられません。それならば、変えるのではなく、資質に沿って生きる方が、無理なく、自分も豊かさを感じながら周りにも貢献できます。そのため、私は自分の「根源的な欲求」を知っておくことが重要だと強く考えます。
「根源的欲求」とは、生まれ持った資質から人生や仕事に繰り返し現れるもので、感情パターンを作り出す人の欲求のコアです。これを把握しておくと、自分の心を豊かにし、平安を得ることができます。
この根源的欲求は、心理学の世界では9つに分類されます。これらをまとめて「エニアグラム」と呼びますが、このなかでも特に自分の心が強く求める叫びを、3つ選んでみましょう。
【1】いい加減が嫌いで、理想的なあるべき姿を目指す人
【2】相手との人間関係や、感情のやりとりを重視する人
【3】常に何かの目標を達成したい人
【4】人と同じが嫌いで、個性や独創性を発揮したい気持ちが強い人
【5】情報収集をしたり、専門性を追求する気持ちが強い人
【6】「安全・安心を得たい」という気持ちが強い人
【7】楽しさを追求したい人
【8】自分が置かれた状況を「コントロールしたい」という気持ちが強い人
【9】マイペースで自分のリズムを一定に保ちたい人
この中からチョイスしたものが、自分の心を豊かにする根源的要求です。以下、詳しく解説します。
9つの「心の叫び」から、自分の欲求を見つける
【1】「いい加減が嫌いで、理想的なあるべき姿を目指す人」は、「完璧でありたい」という心の叫びを持っている人です。「こうあるべき」という高潔さを自分にも他人にも求め、充足感を得るには「完璧・理想を追求する」ことが必要です。一方、心の平安が乱れ、過度な自己嫌悪に陥るのは、いい加減な依頼を受けるとき、妥協を強いられるときです。
【2】「相手との人間関係や、感情のやりとりを重視する人」は、… 続きを読む