会社への貢献度を測る指標は数多くあります。その中でも、各部門における収益を明確にする「部門別利益管理制度」は多くの企業で採用されている指標の一つとして実績があります。
しかし、適切に運用されている企業がある一方で、部門別利益管理が原因で衰退を招く企業もあります。中途半端に導入してしまうと、社員のやる気が削がれてしまうことも。今回は事例を踏まえ、部門別利益管理制度の問題点を浮き彫りにします。
部門別利益管理制度が企業内の不公平を招く?
まず最初に、部門別利益管理制度の定義を簡単に説明しましょう。これは言葉の通り、企業を構成するあらゆる「部門(=構成組織)」を独立採算できるように、疑似的に分割し、組織毎に収支計算を行うことを意味します。従って、各組織に必ず売上部門(営業など)と間接部門(人事・総務など)が属することになります。また、間接部門はあえて分割せずに、売上部門へ「サービスを提供する」組織として、社内的に対価(=売上)を受け取る仕組みにしている企業もあります。
この部門別利益管理は、もともと「プロフィットセンター」(各事業部が利益を生み出すことに責任を持つ部門単位)と呼ばれる経営手法に基づくといわれています。コストセンターや事業本部制、あるいはカンパニー制等にも採用されることがありますが、平たく言えば「会社への貢献度を利益で算定し評価する」仕組みを意味します。
すなわち、どれだけ利益を稼ぎ出したかが最も重要視される評価項目であり、この制度の導入の背景には「株主重視」という欧米的思考が存在していることは想像に難くないでしょう。
ただ、この制度の是非はともかく、形だけ真似て導入し結果的に業績の低迷を招く事態に陥る企業が後を絶たないのも事実です。… 続きを読む