90年代後半からのデフレ経済のもと、企業は長らく雇用調整を行ってきました。その結果、20代、30代の社員、とりわけ管理職の人材が不足しています。会社を成長発展させる源泉は経営者と中間管理職の力量にあります。守りから攻めの経営に転換するなかで、管理職候補として、20代の若手社員、いわゆる「ゆとり世代」に該当する人材を中長期的に戦力化し、育成することは急務と言っていいでしょう。
本稿では、彼らを将来の管理職として育成するためのポイントについて述べたいと思います。
ゆとり世代の特徴
まず、一般的に言われているゆとり世代の特徴、行動の傾向性についてふれます。
【1】マイペース、マイライフに価値観を置く
昔のように会社のために滅私奉公し、モーレツに働くことよりも、自分の仕事のペースや生活スタイルを大事にする傾向があります。
【2】自己成長に関心が高い
物があふれ、豊かな生活を送ることに慣れている世代です。一方、大企業といえども倒産の憂き目にあう現実も見てきています。マイライフを優先し、高望みをせず現実的な生活を維持するために自分自身が力をつけ成長することへの関心は高いです。
【3】自主性、主体性がない
人から指示命令され、与えられた仕事をそつなくこなす能力は高いです。しかし、自ら主体的に仕事を創り出す、あるいは積極的に他者へ働きかける行動はあまり取りません。
【4】打たれ弱い
学校、家庭において、こっぴどく叱られた経験がないためか、職場でもきつく叱られると萎縮してしまい自分の殻に閉じこもる傾向があります。
以上は、あくまで一般的に言われているゆとり世代の特徴です。どちらかというとネガティブな印象があります。しかし、ゆとり教育がゆとり世代を生み出したのであって彼らの責任ではありません。かつての会社への忠誠心、自己犠牲、長時間労働といった仕事のスタンスは限界にきています。働き方や仕事のやり方・考え方は変化しています。変化を体現しているのが彼ら自身です。無理に変えようとせず、あるがままの姿を認識し、彼らが成長するための支援を行えばいいのです。
ゆとり世代を管理職に育成する3つのポイント
彼らの特徴を踏まえて、会社、個人ともに成長するためにはどうしたらよいのか。いろいろ考えられますが、特に重要と思われる3点を紹介します。… 続きを読む