みなさん、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの横山研太郎です。「ニュースを分析『その時企業は何を考えたのか』」の第3回をお送りします。
今回は、伊藤忠商事が取り組む「朝型勤務」制度についてです。岡藤正広社長が強いリーダーシップを発揮して実現させた朝型勤務は、「働き方の改革」と「業務効率の改善」を目指すためのものです。朝型勤務がどうしてこれらの目的を達成させる切り札になるのかを考えます。
効率が悪い日本の労働力
企業が成長していくためには、「顧客目線」は欠かすことができません。「お客さまの利益」のために行動することが、ひいては「自社の利益」につながり、会社を成長させることができるからです。
ただ、日本では、その実現のために「長い労働時間」が費やされてきました。日中はお客さまを訪問したり社内で会議をして、定時が過ぎてからひとりで行う仕事に取り組み、遅い時間に帰宅する。このようなワークスタイルが当たり前となっていました。
そして、バブル崩壊後。景気低迷で賃金がカットされる過程で、残業は「生活残業(残業代を稼ぐために残業すること)」と変化し、日本の労働力はどんどん効率が悪くなっていきました。実際、1994年以降、日本の労働生産性は先進7カ国の中で最下位となっています。
労働の効率が悪いと、企業が従業員に支払うことができる給与も増やしにくくなってしまいます。それがさらに生活残業を促してしまう結果にもなってしまうでしょう。しかし、あまりにも長い労働時間は、従業員の健康面での問題を引き起こしかねません。近年重要になってきている「ワークライフバランス」の問題が起きてしまうのです。
「仕事と生活の調和が取れた生き方を実現できるようにすること」が求められる時代になってきたのですが、企業を発展させながらこれを達成することができるのではないかと注目されているのが、伊藤忠商事の「朝型勤務」です。
「残業禁止、朝型勤務」で労働時間とコストは抑えられたのか… 続きを読む