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相手を怒らせずに自分の考えを伝える方法
2015.07.22

「アサーション」で意見がまとまる組織にする方法第2回

相手を怒らせずに自分の考えを伝える方法

著者 峯 英一郎

 ビジネスを行ううえで、意見が対立することは度々ある。この対立を防ぐ方法として有効なのが、お互いを尊重し意見をまとめる自己表現法「アサーション(Assertion)」である。

 前回「自分を押し殺さない人間関係の築き方とは?」では、アサーションの基本的な考え方と実行ステップを説明した。しかし、アサーションを実行するのは容易ではない。今回、その難しさの要因やその解決策を紹介する。具体的なアサーションのスキルを身につけることによって、お互いを大切にし合い、話し合いながらお互いが誇らしい気持ちになれる「アサーティブ」な人間関係を構築することができ、自分や組織の良い状態をつくり活性化させることができるのである。

 

アサーションを難しくしている3つの課題

 アサーションを実行する3ステップとは、前回挙げた通り以下である。

(1) 自分の気持ちや考え方を知る
(2) 自分の気持ちや考え方を正直に言語化する
(3) 正直に言語化した自分の気持ちや考え方を相手に伝える

 今回はこの3ステップ毎に、アサーションを実行における課題とその解決策を、前回と同じく平木典子著「アサーション 自分の気持ちの伝え方」を元に考えていく。まずは、第1ステップから順を追って考察していこう。

 

自分の気持ちや考えを理解するには「私を主語に考える」

 第1ステップは、「自分の気持ちや考え方を知る」であるが、自分のことにもかかわらず、肝心の自分が「何をどうしたいと思っているのかがわからない」という人は少なくない。自分の気持ちや考えがわからなければ、それを言語化することも、ましてや相手に伝えることもできない。アサーションは、まず自分の気持ちや考え方を自分自身が知ることから始まる。

 そこで自分の気持ちや考え方を知る手段として「私を主語に考える」という方法を紹介する。

 具体的に説明しよう。たとえば、創業者の経営に関する議論での口調が高圧的で「腹が立つ」場合、このまま放置すると、腹が立っている自分はどんどん創業者のことを嫌いになってしまう。そこで、私を主語に置き換えて考えてみるのだ。

 「創業者には本当に腹が立つ」と思ってしまっているとすると、それを「あなたの口調や態度が高圧的に感じるので、私は怖く感じる」とか「私はたとえ厳しくても、もっと意欲的になれるような会話で議論してもらいたいと思っている」といった具合だ。ただ腹を立てているだけだと、その感情だけが大きくなり、ついには相手を嫌いに思ってしまい、会話をするのも嫌になってしまう。

 そこでこのように「私を主語に考える」ことによって、本当は議論をしたいと思っていて、そのために意欲的になれるようなやりとりをして欲しいと思っていることに気づき、自分を見失わずにしっかりと自覚することができるのである。

 自分の考えや気持ちがわからなくなる原因の一つに「非現実的な思い込み」によるものがある。「非現実的な思い込み」とは、親などの影響を受けて、自分でもそれが自分の気持ちや考えだと信じてしまっているが、実はそれは思い込みに過ぎず、本来であればそんな風に感じることも、考える必要もない、というものである。

 たとえば「創業者の命令には、常に従わなければならない」と思い込んでいるとしよう。こうした信念に沿って生きていると創業者の命令に従うために自分の意見や希望を言わず、言いなりになってしまう。これでは、前回取り上げたノン・アサーティブ(対立を避けるために自分の意見や気持ちを押し殺すこと)になり、アサーティブな人間関係を構築することはできない。こうした「非現実的な思い込み」は取り除く必要があるのだ。

 アサーティブな人間関係の構築を阻害する「非現実な思い込み」を取り除くためには、「A-B-C-D理論」による振り返りが有効である。

 

無意識の思い込みを「A-B-C-D理論」で粉砕する

 A-B-C-D理論は、アメリカの臨床心理学者アルバート・エリスが提唱した心理療法「論理療法」のこと。Aは出来事(Activating event)、Bは信念(Belief)、Cは結果(Consequence)、Dは論破(Dispute)を意味し、特にBにおける「~しなければいけない」といったような非現実的な思い込みを粉砕することを目的としている。

 たとえば、創業者から急に今日の夜の会に同席するように指示されたとしよう。しかし、今日は以前から重要な顧客と約束をしていた。断ると創業者の命令に背くことになってしまう。夜の会は同席を指示するのだから重要な場なのであろう。とはいえ、自分が約束をしているのもまた重要顧客である。… 続きを読む… 続きを読む

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峯 英一郎

峯 英一郎

ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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