前回は主にフランチャイズというビジネスを生んだ米国に焦点を当てることで、日本との違いや日本が不足しているものは何かなどについて紐解きました。今回はより具体的な課題とその対策に踏み込んでいきます。
米国のフランチャイズにおける「標準化されたオペレーション」とは
日本のフランチャイズビジネスの課題を解決する上で、具体的に関わってくる事項の一つが「標準化されたオペレーション」です。
もし当方が「米国のフランチャイズビジネスを成立させているものとして最も大切なものを挙げよ」と問われたら、迷わず「”標準化された”オペレーション」だと答えます。フランチャイズチェーンは、直営店を通じて確立された「標準化されたオペレーション」が加盟店において正確に再現されることが、成功への第一歩となってくるからです。
ではオペレーションを「標準化」させるとはどういうことか。それは一朝一夕にできるものではなく、徐々に作り上げていくものです。
米国にはアジア系移民が住民の7割以上を占めると言った地域等がありますが、その地域に出店して成功したからと言って、その店でのオペレーションが全米展開するための「標準的オペレーション」になることはまずありません。
米国でブランドを確立しており、実績を有するフランチャイザーのほとんどは、さまざまな市場環境を想定し、実際に直営店を出店させ、トライアンドエラーを繰り返しながら徐々にそのチェーン店としての「標準」を作り上げてゆくというプロセスを経るものです。
そうしたプロセスを経て標準化されていったオペレーションが加盟者へ提供されるからこそ、米国では多くの加盟者が成功できる原動力の一つになっていると言えます。
「標準化」における日本のフランチャイザーの課題
この「標準化」という点で、日本のフランチャイザー、特に中堅規模以下のフランチャイザーが誤解している、もしくは不十分と言わざるを得ないケースが多いことも日本のフランチャイズが抱える課題の一つと言えます。
端的に言えば、直営店1、2店舗の成功だけで「直営店のオペレーション=標準化出来るオペレーション」と思い込み、チェーン展開に走ってしまったケースが少なくないということです。
直営店が成功したと言っても、たとえばその直営店が新宿にあったとすれば「新宿だから」成功した可能性だって考えられます。フランチャイズビジネスとしてチェーン展開をはかるなら、新宿といった地域要因に左右されることなく成功できる店舗オペレーションなのかどうか、さまざまな地域に出店して検証する必要があります。
ところが中堅規模以下のフランチャイザーには、… 続きを読む