2014年の春闘では、自動車、電機などの製造業だけでなく、小売業や外食産業などの流通業界でもベースアップ(ベア)の動きが顕著になった。大手メーカー同様に、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に支えられた好業績に加え、政権からの「経済の好循環」実現の要望を反映。さらに、日本経済の内需依存が強まる中で、流通業界の人手不足もベアを後押しした。こうした人手不足は、非正規社員の賃上げにもつながり始めている。
「いつもなら、金属労協ばかりで、ほとんど話題になっていなかったのに、こんなにマスコミに注目されたのは初めてだ」
3月13日。今年の春闘主要企業の集中回答日の翌日、流通やサービス業などの労働組合が加盟するUAゼンセンの幹部は、感慨深げだ。流通業界の春闘で、ベアが相次ぎ、例年にない関心を集めたためだ。
口火切ったコンビニ、スーパー
その背景には、安倍政権発足まもない昨年初めに流通業界で起きた経営トップの異例の賃上げ方針表明がある。
まず、口火を切ったのが、… 続きを読む