2018年3月、コカ・コーラ社が日本でアルコール飲料の発売を計画していることが報じられました。まずは5月にも九州限定でレモンフレーバーの缶酎ハイを投入。生産は外部に委託し、アルコール度数や味の異なる3種類の商品の発売を開始する見込みです。
コカ・コーラ社の125年以上の歴史の中で、過去にはワインの発売をしていた時期もありましたが、1980年代には全面的に撤退しており、再度日本でアルコール飲料市場への参入に挑むことになります。
なぜ、コカ・コーラがアルコールを販売するのか?
さて、これまでコカ・コーラを始めとした清涼飲料水を主体に事業を展開してきたコカ・コーラ社がなぜいきなり“缶酎ハイ”というアルコール飲料を発売することを決定したのでしょうか?
その背景には2つの理由が考えられます。
まず一つ目は、主力の清涼飲料市場で苦戦が続いていることが挙げられるでしょう。
これまでコカ・コーラ社は主力の炭酸飲料である『コカ・コーラ』を始めとして、缶コーヒーの『ジョージア』、スポーツドリンクの『アクエリアス』、お茶飲料の『綾鷹』、ミネラルウォーターの『い・ろ・は・す』など時代背景に応じて成長が期待されるカテゴリーに次々と新商品を投入して、清涼飲料水業界での確固たる地位を築いてきました。
ところが、最近では健康志向の高まりから炭酸飲料が敬遠される傾向にあり、缶コーヒーなどもコンビニの低価格の淹れ立てコーヒーの台頭で成長に陰りが見えています。加えて、これまでライバル他社を大きく引き離してきた自動販売機の設置台数も、業界第2位のサントリー食品インターナショナルが2015年にJTの飲料自動販売機事業を1,500億円で買収しておよそ17万台を一気に追加することによって、シェア争いが激化し、清涼飲料市場で成長を持続させることが厳しい状況に追い込まれているのです。
そこで、引き続き成長を模索するには新たな市場に打って出る必要があり、コカ・コーラ社が新たに目を付けたのが“缶酎ハイ”などで構成される『RTD(Ready To Drink=買ってすぐに飲めるアルコール飲料)市場』だったのです。
日本におけるRTD市場は、… 続きを読む