経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第101回)

業績好調の中、リンガーハットが新事業を始めるワケ

2018.02.19 Mon連載バックナンバー

サラダ、低価格のとんかつ……新事業を始めるリンガーハット

 長崎ちゃんぽんを主力とするリンガーハットが新業態にチャレンジします。

 この2月には、東京の広尾にサラダ店『EVERY BOWL』(エブリボウル)をオープン。旬の有機野菜を顧客が自由に選んで好みのサラダセットを作れるスタイルで健康志向の強い女性の取り込みを図ります。

 また、他にも2018年中に低価格帯のとんかつ店『とんかつ大学』を首都圏のフードコートを中心に展開していく計画。リンガーハットでは、すでに『濱かつ』のブランド名でとんかつ店を展開していますが、1,500円程度と高価格帯のポジショニングのため、松屋フーズの『松のや』やアークランドサービスホールディングスの『かつや』など500円程度の低価格を武器に成長を続ける競合企業に対抗するため、新たな業態のとんかつ店の展開に踏み切ったのです。

 

なぜ、リンガーハットは新事業を始めたのか?

 リンガーハットといえば、一時期はクーポンの乱発で大幅な赤字を計上し、経営危機に陥ったものの、最近では業績を回復し7期連続の増収、そして5期連続の増益を続けるなど好調を維持しています。しかも2018年2月期の決算では、4期連続で過去最高益を記録する見込みであり、まさに絶好調の真っ只中にいるといっても決して過言でないでしょう。

 このような状況下で、「敢えて新たなことにチャレンジしなくても主力事業に専念し、好調を持続させればいいのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

 確かに主力事業では好業績を謳歌していますが、リンガーハットが新たな事業にチャレンジする背景には二つの考え方があるといえるでしょう。

 

(1) 事業ライフサイクル

 まず一つ目は、『事業ライフサイクル』と呼ばれるものです。

 事業ライフサイクルとは、ほぼすべての事業には人間と同じようなライフサイクルがあり、導入期、成長期、成熟期、衰退期という4つの特徴を持つ期間を経て、最終的には“寿命”を迎えるという考え方です。事業が好調な時には、その勢いが永遠に続くと錯覚しがちですが、どんな好調な事業でもいずれは寿命を迎え、終わりがやってくるのです。ですから、いかに主力事業が現在好調でも、次の事業の柱を育てる準備を怠ってはいけないのです。

【事業ライフサイクル】

 この事業ライフサイクルの各期には次のような特徴があります。

 導入期では、事業を始めたばかりで世間での認知度も低く、なかなか売り上げが上がらず苦戦が続きます。この導入期は、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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