先週公開した記事では、リーズナブルな価格でステーキを提供することで急成長した『ステーキ&カフェ ケネディ』の戦略ミスを検証し、経営破綻に至るまでのシナリオを類推しました。
『いきなりステーキ』など大手の攻勢で顧客を奪われて、最終的に経営破綻に追い込まれた『ケネディ』ですが、生き残る術はなかったのでしょうか?
そこで、今回は小さな企業が大手との競争の中で生き残るための戦略について考えていきたいと思います。
(1)顧客に密着してニーズに徹底的に応える顧客戦略
まず、同じマーケットに圧倒的な強者が参入してきた際に、生き残るために重要な戦略は『正面切って戦わない』という選択でしょう。
たとえば、『いきなりステーキ』は今や全国に154店舗を展開し、『ケネディ』とは店舗数で5倍以上の規模を誇ります。また、2016年12月期は売上高で141億円、セグメント利益で8億円と売上高では10倍以上の開きがあります。このような強大な敵に同じようなポジショニングで勝負を挑んでも勝ち目がないことは、勝負をする前から火を見るより明らかです。
そこで、自社よりも圧倒的に強いライバル企業が参入してきた場合には、ビジネスのコンセプトがかぶらないニッチなビジネスを指向することで生き残る確率を高めることができるのです。
仮に大手の強みが大量仕入れや画一的なメニュー・サービスによるコスト優位性だとするなら、中小企業は出店場所の商圏を徹底的にリサーチして、ターゲット顧客のニーズに合致した付加価値の高いメニューやサービスで顧客を引き付ける“接近戦”で戦っていくべきでしょう。
たとえば、外食産業以外の事例になりますが、東京の町田市に… 続きを読む