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ミスタードーナツの店内調理廃止は終わりの始まり?
2017.03.31

経営者が知っておきたいビジネス理論入門第83回

ミスタードーナツの店内調理廃止は終わりの始まり?

著者 安部 徹也

およそ4割の店舗で店内調理の廃止を決定した『ミスタードーナツ』

 『ミスタードーナツ』は、2020年度までに現状の店舗数のおよそ4割に相当する500店舗でドーナツの店内調理を廃止すると発表しました。

 対象となる500店舗のうち、300店はドーナツの店内調理の設備を取り払って、簡単に作ることができるパスタなどを提供する喫茶店形式に変更し、残る200店は調理をまったく行わず、持ち帰り専門店の『ミスタードーナツ トゥゴー』に切り替えていくとのこと。

 ミスタードーナツでは、これまで各店でその日販売するドーナツを店内で調理するのが一つの大きな“売り”でしたが、今後の方針として店内調理の設備の整った店舗でまとめてドーナツを調理し、車で近隣の店舗へ配送するスタイルに変更することを決定したのです。

 

なぜ、ミスタードーナツは店内調理を廃止するのか?

 ミスタードーナツの店内調理は、競合他社、特にドーナツの販売に力を入れるコンビニ各社と差別化するうえで、重要な要素となっていました。

 その証拠として、ミスタードーナツは2015年度から3年間かけておよそ600店舗で、店内でドーナツを調理している様子が顧客から見えるよう、店内のキッチンをガラス張りにする改装を実施していくと公表していました。この店舗改装により、ミスタードーナツは『店内で手作りした揚げたてのドーナツを販売する』という付加価値を顧客にアピールして、工場で大量生産したコンビニドーナツとの違いを強調していく戦略を推し進めていたのです。

 ところが、続いてミスタードーナツはこの差別化戦略と相反する決断を下します。2016年11月8日に、およそ8割にあたる商品を一斉に値下げし、たとえば人気商品であるポン・デ・リングはそれまで130円だったものが100円と、実に23%もの大幅な値下げに踏み切ったのです。

 この値下げ戦略は結局裏目に出て、ミスタードーナツの業績は悪化の一途を辿ります。2017年3月期は4期連続の赤字見込みで、その額も17億円に達するなど、抜本的な改革が待ったなしの状況に追い込まれてしまいました。

 そこで、今度はドーナツの店内調理という手間暇やコストのかかるオペレーションを廃止してコスト削減を優先させ、なんとか黒字化を果たそうというのです。もし、店内調理を廃止すれば、通常1年程度の経験が求められる調理担当者を配置する必要がなくなり、人件費を抑制できる他、設備のメンテナンスも不要になって、大幅なコスト削減が可能になります。加えて、小型店であれば全体のおよそ4割を占める厨房の面積を減らして、顧客スペースを拡大できるというメリットもあるのです。

 ミスタードーナツは“店内調理で出来立て”という武器を失うことにはなりますが、効率化によるコスト削減と店舗スペースの拡大で、業績悪化に歯止めをかける戦略に打って出たというわけです。

 

差別化よりもコスト削減を優先したミスタードーナツの判断は正しいのか?

 差別化をなかば諦め、低コストで収益力の回復を目論むミスタードーナツの戦略は果たして正しいのでしょうか?… 続きを読む… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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