『お持ち帰り限定!1枚買うと、もう1枚無料!』で快進撃を続けるドミノピザ
ドミノピザが快進撃を続けています。
宅配ピザ業界は、現状1,300億円程度の市場規模と推測されますが、業界トップのピザーラの売上高が2015年11月期で384億円、2位のドミノピザが2016年6月期で334億円、そして3位のピザハットが2016年3月期154億円と三つ巴の激しい争いを繰り広げているのです。
この3社のうち、もっとも勢いがあるのがドミノピザといえるでしょう。
富士経済の『外食産業マーケティング便覧2012 No.1』によれば、2012年当時、宅配ピザ業界の売り上げは、ピザーラが432億円、ピザハットが256億円、そしてドミノピザが218億円であり、この数年間でドミノピザは大手3社の中で唯一売り上げを伸ばし、遂に業界トップのピザーラの背中が見えるところまで肉薄して来ていることがわかります。
このドミノピザ躍進に大きく貢献しているのが、『お持ち帰り限定!1枚買うと、もう1枚無料!』というプロモーション戦略です。つまり、ドミノピザの店舗までピザを取りに行けば、2枚購入しても1枚分の代金で済むのです。
ドミノピザのメニューは安いものであればプレーンピザがMサイズで1,100円、高いものでLサイズが3,950円(共に税抜き価格)なので、この特典を利用すれば最も安いピザはMサイズ1枚当たり550円、そして最も高いものでもLサイズで1,975円となり、通常高い価格の宅配ピザをとてもお得に購入できるのがドミノピザに人気が集まる秘訣といえるでしょう。
この人気の高まりを受けて、ドミノピザは積極出店を続けており、年間50店舗近く店舗を増やし、今や472店舗(2017年1月20日時点)と業界首位のピザーラの553店舗(2016年6月末時点)をも追い越す勢いなのです。
なぜ、ピザを1枚買えば1枚無料にするのか?
さて、ドミノピザ躍進の立役者ともいうべき『1枚買えば1枚無料』のプロモーションですが、なぜこのような割引を提供するのでしょうか?
理由としては、2つ挙げられます。
ひとつは、当然ですがより多くの売り上げを上げるためです。1枚買えば1枚無料ということは、同じ商品を購入した場合、半額ということになります。ここで商品を半額で販売すると、1つで満足する顧客が多く、顧客数自体が飛躍的に増えなければ、売り上げは減少することにつながります。
そこで1回購入あたりの顧客単価を維持するには、1枚半額よりも、2枚で1枚分の料金というプロモーションの方が効果的なのです。
また、もうひとつはコストがトータル的に安くなるという理由です。一人にひとつ販売するのと、ふたつ販売するのでは、原材料などの変動費は倍かかりますが、接客時間などにかかる人件費や賃料など固定費の部分は追加コストが少なくて済み、結果として利益向上につながるというメリットがあるのです。
このような1つ買えば1つ無料というプロモーションは『Buy One Get One Free』と呼ばれ、アメリカではさまざまな業界で活用されています。日本でもドミノピザだけでなく、大手の紳士服チェーンがスーツを1着買えば、2着目無料といったキャンペーンで成功を収めています。
割引を“持ち帰り限定”にする宅配ピザの特殊な事情とは?
ドミノピザが『1枚買えば1枚無料』を展開する理由を2つ述べましたが、実のところ、持ち帰りに限定したところは宅配ピザ業界特有の事情があります。
それは、持ち帰りを条件にすることによって、… 続きを読む