経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第107回)

『DMM Okan』もうアカン!成長途上で撤退する謎

2018.08.31 Fri連載バックナンバー

DMM.com、『オカン』のサービス停止を発表

 DMM.comが展開する家事代行サービス『DMM Okan(ディーエムエム・オカン)』が9月30日をもってサービスの提供を終了すると発表されました。

 『DMM Okan』は、掃除や洗濯、料理、買い物など、身の回りの家事を依頼したい人とその家事を代行できる個人をマッチングするサービスで、2016年12月14日からサービスの提供を開始しました。代行スタッフは家事の得意な主婦が中心で、家事代行を依頼したい人はアプリを通じて申し込むと担当者が決まり次第通知が届き、細かな依頼内容は直接代行スタッフと調整してからサービスを利用するというプロセスになっています。

 利用料は1時間30分で3,600円(税込・交通費込)からとお手頃価格が受けて、サービス開始から利用者が殺到。当初は東京限定だったものの利用者は4ヶ月足らずで20~30代の単身男性や共働き夫婦を中心に5,000件を突破します。そして、2017年3月31日からは提供地域を全国主要都市に拡大して、さらなる成長を模索している最中でした。

 

成長の続く家事代行サービス市場

 現在、『DMM Okan』を初めとした家事代行サービスは市場の成長が続いています。矢野経済研究所の調査によれば、2017年度の家事代行サービスの市場規模は予測で906億円と前年度の879億円から3%の堅調な伸びを示しています。

 加えて、家事代行サービスをバックアップする国の体制も整ってきており、国家戦略特区で家事支援外国人受入事業として外国人家事支援人材の活用が始まるなど、、今後も益々の成長が見込める業界です。さらに業界サイドでも、サービス品質のばらつきを抑えるために、2つの業界関連団体が家事代行サービスの第3者認証サービス制度を実施するなど、サービスの低下による顧客離れを防ぎ、市場の基礎固めをすべく努力を行っています。

 今後も単身世帯や共働き世帯の増加による需要の増加が見込まれ、経済産業省の試算によれば将来的には6,000億円規模にまで拡大していくことが予想されてます。

 

市場が順調だからといって、ビジネスが成功するわけではない

 市場規模拡大のフォローの風を受け、事業として順調に成長していた『DMM Okan』ですが、なぜ撤退の決断を下したのでしょうか?

『DMM Okan』の担当者は、「メディアなどに取り上げられて注目を集めたが、需要が先行してしまい、代行スタッフの供給が不足し、なかなかマッチングできない状況になっていた」と、その理由をコメントしています。

 つまり、競争の激化による売上不振で事業継続を断念するのではなく、今後も売り上げについては顧客のニーズが非常に高く、需要サイドの見通しとしては明るいものの、サービスの供給サイドで、家事代行を行うスタッフが圧倒的に足らずに、事業としてのバランスが取れずに撤退を余儀なくされたのです。

 では、『DMM Okan』撤退回避の方法はなかったのでしょうか?… 続きを読む

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『DMM Okan』もうアカン!成長途上で撤退する謎
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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