ハラスメント相談窓口での相談対応において、相談者がメンタルヘルスの不調を訴える場合にどのような対応をすればいいかは、相談担当者が悩むケースの一つです。今回は、メンタルヘルス問題が発生している、またはその可能性があると思われる場合にどう対応すればよいかを検討したいと思います。
対応の違いと共通点
相談窓口でメンタルヘルスについて相談されたり、相談者にメンタルヘルスの問題が生じていることがわかったりした場合、ハラスメント問題だけではなく、メンタルヘルスについても対応する必要があります。対応における留意点が異なりますので、まず、ハラスメント相談と、メンタルヘルス問題の対応の違いについてご説明します。
私ども(株)クオレ・シー・キューブでは、ハラスメント相談窓口のほかに、メンタルヘルス中心の相談窓口も開設しております。おおまかに言うと、ハラスメント相談は心理的な葛藤も聞きながらも最終的には組織としてより働きやすい職場環境を作っていくことを目的とし、メンタルヘルス相談は主に従業員の方の心の健康をサポートすることを目的としています。
ハラスメント相談では、これまでの回で述べてきましたように、問題の内容や相談者の意向にしたがって組織的な問題解決を行うことになります。問題に対応するために、きちんと状況を聞く必要があり、どのようなハラスメントの事実があったのか、その結果どのような影響があり、問題解決のためにどのような対応を望むのか(被害者の意思確認)など、行為者のヒアリングや今後の組織内対応のための情報収集をすることが求められます。
一方、メンタルヘルス相談においては、健康管理という視点から不調の兆候を早期にキャッチし対応することが主要な役割ですが、不調の原因が個人的なことにあるなど、組織的な対応がなじまない例も多くあります。ハラスメント相談に比べると、じっくりと話を聴き、その人の不安やつらい気持ちに寄り添っていくことが大切だと考えています。
このように相談の目的に応じて聴くポイントに違いはありますが、相談者の話をじっくりと聴くことで相談者と相談員との信頼関係を作り、安心して率直な気持ちを話してもらうこと、相談者がその会話の中で自分の気持ちや考えに気づき、さらに自ら行動をおこせるようサポートすること、という点においては、二つの相談に大きな違いはないと考えています。… 続きを読む