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大化の改新に見る、“裏切り”を成功させるたった1つの方法
2019.03.14

歴史を変えた「裏切り者」列伝第3回

大化の改新に見る、“裏切り”を成功させるたった1つの方法

著者 かみゆ歴史編集部

 歴史には、主君から寵愛を受けていた部下が寝返ったり、同盟関係にあった相手に戦を仕掛けるなど、「裏切り者」の汚名を受けた人物がいる。結果的にその裏切りが、歴史を大きく変えたケースもある。

 しかし、それらが「裏切り」とみなされるのは、あくまでも現代から見ただけの話。裏切った側の目線に立てば、実はそれは裏切りではなく、ただ単にそうせざるを得なかったり、結果的に裏切ったように見られてしまっただけの可能性もある。

 なぜ人間は「裏切り」をしてしまうのか? そして、その裏切りによって、状況はどのように変わったのか? ビジネスパーソンが裏切られないため、そして、あわよくば“裏切る”時のための参考になるよう、歴史に残る「裏切り」の全容を明らかにする。

 今回は、飛鳥時代の「大化の改新」で“裏切り”に成功した中大兄皇子(のちの天智天皇)を取り上げる。

 本連載では第1回第2回とも、結局は裏切った側が辛い目に遭うケースを紹介した。しかし中大兄皇子は、当時、政治の実権を握っていた豪族・蘇我氏に対しクーデターを起こしたものの、その後もリーダーとして改革を推し進め、日本で初めて法律に基づく国家(律令国家)を打ち立てた人物として知られる。

 なぜ中大兄皇子は、裏切った後もリーダーとして、その座にとどまり続けられたのだろうか?

 

天皇より力を持った蘇我氏、不満を抱く中大兄皇子

 大化の改新という“裏切り”が起こった理由には、先に触れた通り、当時の政権が天皇ではなく、豪族に支配されていたという背景がある。

 飛鳥時代の日本は、天皇を頂点にした政権構造で、畿内の有力豪族が天皇を支えるというかたちをとっていた。なかでも天皇家と血縁関係を築くことで台頭したのが蘇我氏で、天皇の家来としては最高位である「大臣(おおおみ)」となり、絶大な権力を握っていた。この体制を作り出したのが蘇我馬子(うまこ)で、その子・蝦夷(えみし)、孫の入鹿(いるか)と3代にわたって朝廷に君臨していた。

※当時は「天皇」という呼称はなく、「大王(おおきみ)」と呼ばれていたが、本稿ではわかりやすくするため天皇と表記する。

 聖徳太子、蘇我馬子、推古天皇と、それまで政治を推進してきた人物が相次いで死去すると、蝦夷と入鹿の勢力はますます盛んになった。推古天皇の後を継いだ舒明天皇、そのあとの皇極天皇も蘇我氏系の天皇で、皇太子の最有力候補も蘇我氏系の古人大兄皇子(ふるひとのおおえのみこ)であり、朝廷内は蘇我氏が牛耳ることになった。次期天皇を決めるのも、蘇我氏の役割にさえなっていたようである。

 そんな状況に危機感を覚えたのが、舒明天皇と皇極天皇の子・中大兄皇子だった。中大兄皇子も次期天皇の有力候補だったが、古人大兄皇子よりも若かったため、候補から外されていた。中大兄皇子は、天皇の地位が形骸化しつつある現状を危惧したのである。

 中大兄皇子と同様の思いを抱いていたのが、中臣鎌足(なかとみのかまたり)だった。鎌足は天皇家の神祇を司る中臣氏の一族だが、中臣氏はかつて仏教崇拝問題で蘇我氏に敗れて中央政界から追放されていたという因縁もあった。

 中大兄皇子と鎌足は、唐に留学して学問を修めて帰国した学問僧・南淵請安(みなぶちのしょうあん)のもとに通い、唐の国家制度や儒教を学んでいた。唐は皇帝を頂点にした封建社会で、法律に基づいて政治を運営する律令国家である。中大兄皇子と鎌足も、唐のような律令国家こそ、日本がめざすべき国家体制だと考えていた。

 思想的に結びついた二人は、やがて現状の政治運営に不満をいだくようになり、蘇我氏討伐をもくろむようになるのである。

 

中大兄皇子を怒らせた外交方針の転換とは

 特に入鹿と中大兄皇子との間には、東アジア地域を巡る外交方針で大きな溝があった。… 続きを読む… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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