マレーシアは多民族国家ですが、国教はイスラム教。欧米でクリスマスやイースターが休みであるように、イスラム教の祝祭日がいくつもあります。

 マレーシアでも普段は日本や欧米同様の西暦が使われますが、祝祭日はイスラム暦に基づいており、西暦を基準にすると、祝祭日は毎年移動します。このため、「昨年と同じ時期に出張日程を組んだら、今年は休みだった」というようなことも起こり得ます。

 今回は、日本人にはわかりにくい、マレーシアのイスラム関連の祝祭日について紹介します。

 

なぜイスラムの祝日は毎年“変わる”のか?

 イスラム世界では、「イスラム暦」とよばれる太陰暦が使われています。預言者ムハンマドがメッカからマディナという街へ移住したとされる西暦622年を紀元としているので、「ヒジュラ暦」とも呼ばれます(「ヒジュラ」はアラビア語で「移住」の意味)。イスラム暦の一年は太陽暦より約11日短いので、イスラム暦の祝祭日は西暦では毎年日付けが変わります。

 マレーシアの祝日のうち、イスラム教関連のものは、このイスラム暦に従っています。2018年は以下の通りで、カッコ内の州で祝日になっています。

・4月14日 ムハンマド昇天記念日(ケダー州、ヌグリ・スンビラン州、プルリス州)

・5月17日 ラマダン開始(ジョホール州、ケダー州、ムラカ州)

・6月2日 みいつの夜(連邦直轄領※、クランタン州、パハン州、ペラ州、プルリス州、ペナン州、スランゴール州、トレンガヌ州)※「連邦直轄領」はクアラルンプール、ラブアン、プトラジャヤの3つの地域のこと

・6月15日 ハリ・ラヤ・プアサ(全国)

・6月16日 ハリ・ラヤ・プアサ2日目(全国)

・8月22日 犠牲祭 ハリ・ラヤ・ハジ(全国)

・8月23日 犠牲祭 ハリ・ラヤ・ハジ2日目(ケダー州、プルリス州)

・9月11日 イスラム暦正月(全国)

・11月20日 ムハンマド生誕祭(全国)

 以下、祝日の名前と内容を紹介します。祝日名は、英語やマレー語、アラビア語で表記されることがあり、人によって呼び方が異なるケースもあります。

 

【4月】ムハンマド昇天記念日 ~預言者が天使に導かれて天空を旅したとされる日

 サウジアラビアのメッカで眠っていた預言者ムハンマドが、天使の導きでエルサレム(イスラエル)まで飛んだとされる日。ムハンマドは預言者たちに会って礼拝を行い、神(アッラー)と言葉を交わしたと伝えられています。ムスリムは、この日を記念して前夜からモスクに集まって礼拝を行い、ムハンマドの夜の旅についてのコーランの章を朗誦します。

【5月】ラマダン開始 ~約1か月間の、日の出から日没までの断食の始まりの日

 断食は、信仰告白、礼拝、喜捨、巡礼と同じく、ムスリムの5つの義務のひとつです。イスラム暦の9月に行われることから、月名をとって「ラマダン」と呼ばれますが、マレーシアでは「断食」を意味するマレー語の Puasa(プアサ)や英語のFastがよく使われます。

 ムスリムは約1か月にわたって、… 続きを読む

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川崎 典子

川崎 典子

ライター

マレーシア・クアラルンプール在住。出版社、国際協力NGO勤務などを経て、現在、編集・ライター。「海外書き人クラブ」会員。1990年代に1年超の長旅をしたのがきっかけで「歩く旅」にめざめ、以後20年にわたって東南アジアとかかわっています。これまでの訪問国は、アジア地域を中心に20か国以上。歴史や文化を軸に、東南アジアの食や手工芸などについて寄稿しています。

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