海外発!最新の文化・食事情2018(中国・大連)

中国で失速しつつある「日本式ラーメン」

2018.04.08 Sun連載バックナンバー

 中国に進出した日本の外食企業は多くあるが、成功しているのはサイゼリヤや吉野家など一握りだ。その一握りの中でも、熊本に本社を置く味千(あじせん)ラーメンの海外進出は、ローカル企業の稀有な成功事例として、注目を集めて来た。

 1990年代に中国に進出した味千は、2010年には「中国ファストフード企業トップ50」の5位に選出されるほど快進撃を続けてきた。だが、この数年は苦戦が続いていることは日本ではあまり知られていない。売上高、店舗数、純利益ともに減少が止まらず、業界関係者からは「ブランドの陳腐化という根本的課題を乗り越えられない典型的な企業」とまで指摘されている。

 

1990年代の中国進出、600店舗体制に急成長

 日本の味千ラーメンは九州を中心に国内で約80店舗体制。これに対し、1996年に進出した中国(香港・台湾を含む)では約630店舗を展開。中国以外の海外にも約80店舗がある。ただし、国内店舗の運営企業である重光産業(熊本県)は、中国の経営について、フランチャイズ契約を結んだ香港の企業「味千中国」に任せ、原料提供や品質管理でサポートする体制を取っている。味千は現地事情を熟知したパートナー企業に采配の大部分を委ねたことで、中国で急成長できたと言える。

 味千中国は瞬く間に中国本土でも店舗を増やし、米ヤム・ブランズ(ケンタッキーフライドチキン、ピザハットなどを運営)や米マクドナルドと並ぶ大手チェーンに成長した。

 味千中国は、店舗数が約670店だった2015 年3月、「5年で1000店舗体制にする」と宣言。しかし現在の店舗数は649店と当時より減少。2017年前半の純利益は前年同期比80.9%減少し、目標達成への道筋が見えない状況となっている。

 

消費者の成熟で「個性のない店」に

 実は味千中国の失速は、最近始まった話ではない。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

浦上 早苗

浦上 早苗

海外書き人クラブ所属、中国経済ライター

1998年から2010年まで西日本新聞社記者。その後中国政府奨学金を受け博士留学(専門は経営学)。中国・大連の少数民族向け国立大学で教員。中国経済ニュース、米国経済ニュースの翻訳の他、中国経済関連記事を執筆。法政大学MBA兼任教員。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter