放送作家が語る、人気テレビ番組の「裏側」(第2回)

『イッテQ』の人気は“顧客優先主義”の姿勢にある

2018.03.28 Wed連載バックナンバー

 日曜夜8時に放送されている人気番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)。スタートして今年で11年目。海外ロケをメインにしたバラエティ番組だ。NHK大河ドラマを裏にしながらも毎週20%前後を叩き出すお化け番組だが、一体なぜそこまで人気があるのだろうか。

 その理由を読み解くと、顧客(=視聴者)第一主義を貫く番組の精神が見えてきた。

 

一般的な海外ロケ番組の「無駄」をショートカット

 『世界の果てまでイッテQ!』(以下、イッテQ)では、毎週海外ロケを中心にした様々な企画が放送されている。イモトアヤコが世界196か国すべてを周り、体を張ってレポートする「珍獣ハンター・イモト ワールドツアー」、宮川大輔が世界中の祭に参加する「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」、出川哲朗がアメリカで奮闘する「はじめてのおつかい」などなど、いずれも普段は見られない絶景やその国の文化・流行といった、海外ロケ番組の醍醐味ともいえる要素をふんだんに盛り込んだ作りになっている。

 そんな『イッテQ』の最大の特徴とも言えるのが、日本から出発し、ロケ地に到着するまでの旅、さらには目的が果たされるまでの「密着部分」を全部カットすることにある。

 通常、海外ロケの番組というと、タレントが日本から出発し、目的地に向かうまでの道のりをじっくり描く。これは、いかにたどり着くまで手こずったか、その大変さを実感し、楽しんでもらおうという意図がある。だが『イッテQ』の場合、それにあたる部分は正味5秒。「日本から何千キロ…」と地球儀上で目的地を図示するだけのたった5秒間である。その直後、到着したタレントの「やってきましたアイスランド!」という第一声から企画が始まる。

 ほかにも、ノルウェーでの「輝くオーロラの空のもとでサーフィンをする」企画(「世界の果てまでイッタっきり」/2018/3/18 OA)では、2週間という期間を設けたチャレンジだったが、実際にオーロラが現れるまでの時間はすべてカットされていた。

 このように、「イッテQ」では現地にたどり着くまでの旅の部分のみならず、課せられたチャレンジに対して、タレントがどれだけ時間を費やしたかということも、他の番組に比べるとそこまで重要視されない。もしその部分が使われたとしても、その狙いは、番組がナレーションでそのタレントを「イジる」ため、もしくは「NHKに比べて予算がなく、ロケにも時間が割けられない」という自嘲的な番組紹介のために使用される。

 番組のスタッフにしてみても、タレントのスケジュールを調整し、現地のコーディネーターと交渉し、宿泊先やチャレンジへの段取りを含めれば、企画によってはそちらのほうにカロリーが費やされる場合もある。だがそこに「もったいない」という精神は働かない。番組の「面白さ」にダイレクトに行き着くため、たとえ到着や目的完遂までに膨大な時間がかかっても、容赦なく切り捨てるのだ。

 

「準レギュラー」を設けないことで、タレントの新陳代謝は活発に

 その容赦ない姿勢は、出演者に対しても向けられている。… 続きを読む

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内堀たかふみ

内堀たかふみ

放送作家

1975年長野県出身。大学在学中から放送作家業をスタート。「明石家さんまの世にも不思議な名前物語」「めざましテレビ」「笑っていいとも!」「誰だって波瀾爆笑」「平成日本のよふけ」ドラマ「大学病院救急救命室」脚本など多数手がける。コピーライティングや映画イベントの企画も携わる。近年はライター業にも力を入れ、執筆したテレビ番組にまつわるコラムなどはYahoo!トピックス、LINE NEWSに掲載多数。「閉店観察人」としてテレビ・ラジオ出演歴も持つ。

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