Bizコンパス

楽しめない広告は拡散しない
2018.02.07

林裕が語る「ウケる広告、ウケない広告」第3回

楽しめない広告は拡散しない

著者 林 裕

 広告で効果を出すためには、一体何が必要なのか? 第1回は「振り向かせなければ、広告ではない」という広告の基本の基本を、第2回では、普通の広告を作ることは、最も競争の激しいところに参入することになり、リスクもコストも高くつくことを紹介しました。

 それでは、普通ではない、より多くの人に届く広告とは、一体どういうものなのでしょうか? かつて流行したコピーなど実例を元に紹介します。

 

「RT」や「シェア」の日本語訳は“これ知ってる?”

 WEB広告の台頭に伴い「拡散する」「バズる」という制作指針が広告業界で重視されるようになりました。TVCM全盛の時代から流行語というものはあったわけで、取り立てて新しい観点ではないのですが、1990年以降の広告がバブル崩壊の影響もあって世の中へのサービス精神を失っていったことへの反動もあるかもしれません。

 Wikipediaに「コマーシャルメッセージ」というページがあります。その中には「CMから生まれた流行語」という項目があるのですが、取り上げられた流行語は1950年から1980年にかけてどんどん数が増えていき、90年代以降はどんどん減っていきます。もちろんこれが完璧かつ公正なリストではないですが、興味深い事実です。

 そんな状況下にWEB広告が登場し、中でもSNSにおいて「シェア」や「リツイート」といったパブ効果(※)のある機能が実装されたことが大きく潮目を変えました。話題になるという現象が数値によって可視化され、デジタルなビジネスツールとなったのです。企業側からの要求として「話題化」という言葉が出るようにもなりました。

 ※マスコミやメディアに取り上げられることで、より多くの人に見てもらうこと。パブリシティ効果の略。

 ここで非常に大事な観点なのですが、RTやシェアという行為を日本語に翻訳すると「これ知ってる?」になります。「バズりたい!」「シェアされたい!」と思っていても、この観点が抜けていればどうにもなりません。自分が友人に「これ知ってる?」と言って教えたくなるものでなければ拡散はされないという厳然たる事実があります。

 では、どういうものを「これ知ってる?」と言いたくなり、どういうものをスルーしたくなるのか。「これ知ってる?」を細分化すると「これ面白くない?」「これかわいくない?」「これめっちゃインスタ映えじゃね?」とまあいろいろあるわけですが、要するに自己アピールに寄与するモノや、みんなで楽しめるモノしか人はシェアしません。

 

楽しめない広告は拡散しない

 キャッチコピーに関しても同じことが言えます。前回、コラムの終わりにこう書きました。

「24時間戦えますか」「ファイト、一発!」「一本いっとく?」というコピーですが、ひとつの共通点があることに皆さんお気づきでしょうか。それは「この商品でなければ言えないコピー」ではない、つまり「他社の競合商品でも使えるコピー」であるということです。

 逆の見方をすれば、こうも言えます。その商品でなければ言えないコピーは、その商品の存在しない場所では使うことができない。つまり、日常会話で便利に使ったりすることが難しいわけです。かつて流行語となったコピーをいくつか挙げてみましょう。… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

林 裕

林 裕

コピーライター

慶應義塾大学環境情報学部卒。博報堂へ入社後、独立。主な宣伝企画に「一本いっとく?」(田辺製薬アスパラドリンク)、「前田敦子とは何だったのか?」(AKB48)、「エヌ山くんとティティ川くん」(NTT東日本)などがある。TCC新人賞、OCCクラブ賞、OCC部門賞、ACC賞ほか受賞。(編集:株式会社ネクストアド)

この記事で紹介しているサービスについて

関連キーワード

SHARE

関連記事

伝説のコピーライター、ケープルズから学ぶ文章術

2015.06.19

温故知新 時代を作ったビジネス書から学ぶ第13回

伝説のコピーライター、ケープルズから学ぶ文章術

顧客が無意識のうちに選ぶキャッチコピーの作り方

2017.04.07

心理士が教える、ビジネスをうまく運ぶためのテクニック第14回

顧客が無意識のうちに選ぶキャッチコピーの作り方

“動き出す静止画”でPOP広告に新境地を開くDNP

2017.10.25

デジタル時代の店頭広告はどう進化していくのか?

“動き出す静止画”でPOP広告に新境地を開くDNP

551蓬莱に見る、売れるECサイトの絶対条件とは

2017.03.10

ネット広告不要!売り上げが伸びるECサイトを構築

551蓬莱に見る、売れるECサイトの絶対条件とは

顧客が自分自身で問題を解決できてしまう「CSM」とは?

2019.11.19

DXを加速させるITシステムの運用改革第15回

顧客が自分自身で問題を解決できてしまう「CSM」とは?

Salesforceを使って “最高の顧客体験”を提供する方法

2019.10.30

「Salesforce World Tour Tokyo」レポート第2回

Salesforceを使って “最高の顧客体験”を提供する方法

人手不足で高離職率、コンタクトセンターの“現実”を変える切り札とは

2019.10.23

いま求められる“顧客接点の強化”第23回

人手不足で高離職率、コンタクトセンターの“現実”を変える切り札とは

コールセンターに○○を導入したら、効率が“約30倍”アップした

2019.10.04

いま求められる“顧客接点の強化”第22回

コールセンターに○○を導入したら、効率が“約30倍”アップした

コンタクトセンターはAIで“さらに”重要な顧客接点に進化している

2019.09.18

いま求められる“顧客接点の強化”第20回

コンタクトセンターはAIで“さらに”重要な顧客接点に進化している

AI法律相談窓口をオンラインで開設、アガルートのリーガルテック戦略とは

2019.09.17

いま求められる“顧客接点の強化”第19回

AI法律相談窓口をオンラインで開設、アガルートのリーガルテック戦略とは

実用レベルに達したAIを活用する「顧客接点DX」の未来

2019.09.13

いま求められる“顧客接点の強化”第18回

実用レベルに達したAIを活用する「顧客接点DX」の未来

AIコンタクトセンターなら「業務効率化と顧客満足度の向上」を両立できる

2019.08.23

いま求められる“顧客接点の強化”第17回

AIコンタクトセンターなら「業務効率化と顧客満足度の向上」を両立できる