林裕が語る「ウケる広告、ウケない広告」(第1回)

振り向かせなければ「広告」ではない

2017.12.13 Wed連載バックナンバー

 「広告」は、商品やサービスの魅力を、ターゲットとなる顧客に伝えるために、ビジネスでは欠かせない要素のひとつである。

 しかし、ビジネスに貢献する広告を作ることは簡単ではない。多額の広告費を投入しても、ターゲットに届かなければ意味はないし、逆に投資額がわずかであっても、顧客の心を打つ広告は存在する。

 広告で投資額に見合った、またはそれ以上の効果を出すためには、何が必要なのか? その秘訣について、「一本いっとく?」(田辺製薬アスパラドリンク)、「前田敦子とは何だったのか?」(AKB48)、「大豆ノススメ」(日本コカコーラ)といった宣伝企画に携わった、コピーライターの林裕(はやし ゆたか)氏が解説する。

 

広告の役割は、「振り向かせるもの」である

 昨今の広告業界は、SNSやスマートフォン、サイネージの進化など技術革新による新メディアの登場やら何やらで、今までの手法ではまずいのではないかとか、急に広告宣伝の担当になりましたとか、いったいどうしたらよいのやら的な立場に立たされている皆様も多いかと存じます。

 そこで今回は、あまり難しく考える前に、メディアが変わろうが時代が変わろうが移ろったりしない、広告には基本の基本がある、という話から始めようと思います。

 「広告する」を英語で「advertise」と言うのは、皆さんご存知でしょう。実はこの単語、ラテン語の「アドベルテール」という言葉が語源になっています。アドベルテールとは、「ad(〜の方に)」、「vertere(回る、変える、向く)」という2つの要素の組み合わせで、つまり「振り向かせるもの」という意味です。

 古代ローマでは選挙のための広告が作られていましたが、既に彼らはその頃「広告とは振り向かせるものである」という一つの真理を見出していました。振り向かせなければ、話しても聞いてもらえるわけがないのですから、これは古今東西どこでも通用する、全くもって普遍的な基準と言えるでしょう。

 しかし、今の日本の広告は、この普遍的な基準を満たしているでしょうか。まずもってここで失敗している、むしろここに心を砕くことすらなく、ただ「言わなければいけないことを、都合のいいストーリーに乗せて流すだけ」というものが大変多いと思います。

 よって、この基準をクリアするだけで、相当数のライバルを蹴落として、コミュニケーションの第一関門の第一関門を突破できる状況にあります。

 

「現場の正しい判断」が、退屈な広告を生み出している

 しかしながら、「振り向かせる」広告は、なかなか出てきません。なぜでしょうか? それは、… 続きを読む

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林 裕

林 裕

コピーライター

慶應義塾大学環境情報学部卒。博報堂へ入社後、独立。主な宣伝企画に「一本いっとく?」(田辺製薬アスパラドリンク)、「前田敦子とは何だったのか?」(AKB48)、「エヌ山くんとティティ川くん」(NTT東日本)などがある。TCC新人賞、OCCクラブ賞、OCC部門賞、ACC賞ほか受賞。(編集:株式会社ネクストアド)

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