4月9日、日本サッカー協会は都内のJFAハウスで記者会見を開き、7日付でヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任と、西野朗技術委員長の新監督の就任を発表した。

 ワールドカップ本大会が始まる2ヵ月前になってから、この解任劇はどう見るべきか。本稿では、日本代表監督が決定されるプロセスに問題点があるのではないかと考察し、一つひとつ紐解いてみた。

 

ハリル監督の解任理由は「勝つ可能性を上げたかったから」

「1%でも2%でもワールドカップで勝つ可能性を追求し、解任の結論に達した」

 日本サッカー協会の田島幸三会長は、4月9日の記者会見で厳しい表情を崩さずこう切り出した。ハリルホジッチ(以下ハリル)監督にはこの会見の2日前に、フランス・パリのホテルで田島会長が直接伝えた。

 当然のことながら、ハリルには動揺も怒りもあったという。無理もない。本大会を2ヵ月後に控えたこの時期に、「代表監督の解任」などまさに青天の霹靂だったに違いない。

 2014年のワールドカップ後、日本代表の監督に就任したのはメキシコ出身のハビエル・アギーレだった。だが、スペインリーグでの監督時代の八百長疑惑が浮上すると、日本サッカー協会は契約を解除し、その後任に選んだのがハリルだった。

 ハリルは、旧ユーゴスラビアで選手として1982年のワールドカップに出場し、フランスリーグでは2度の得点王に輝いた。そして監督としてコートジボワール、アルジェリアの代表を率いた経験はあるものの、日本はまったく縁もゆかりもなかった。それだけに日本人の特性や気質などについても勉強し、多くの選手のなかから「本大会で戦える選手」を探し当てたかったのだろう。

 けれども、その機会を得る前に監督を退くことになった。戦術に関しては、ハリルが掲げてきた「デュエル」(球際での1対1の攻防)で負けずに、縦に速いボールをつなぐサッカーは、「今の日本代表には合わない」と協会の上層部から判断されてしまった。冒頭の田島会長の言葉をそのまま借りれば、協会は「理想とするサッカーと勝つためのサッカーは別」と考えたのだろう。

 しかし、「今の日本代表に合わないサッカーをする監督」を選んだのは、他でもない協会の上層部である。時が流れて風化してしまった感があるが、実は「歴代の日本代表監督の選定」は、積もり積もった「負の歴史」とも言い換えられる。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

関連キーワード

連載記事