2018年のプロ野球は、「2人の怪物」の動向に注目が集まった。1人は清宮幸太郎、もう1人は海を渡った大谷翔平である。そして2人に共通するのは、「日本ハムの栗山英樹監督の下で育てられる」ことであった。「規格外の大物選手」を育てるためのノウハウについて、クローズアップしていきたい。

 

7球団競合の末、日本ハムに決まった「怪物バッター」

 「ああ、日本ハムかという感じでした」――

 2017年10月26日、プロ野球ドラフト会議で7球団が競合の末、日本ハムが交渉権を獲得した後の記者会見で、当時の早稲田実業3年生だった清宮が語った言葉だ。

 今から6年前の2012年の巨人対日本ハムの日本シリーズ。東京北砂リトルを世界一に導いた清宮は、東京ドームでの始球式に登板。当時は早稲田中等部1年生にして、181センチ、94キロの体格で、チームメイトの頭一つ分抜けていた。このとき栗山監督とは、試合前だったこともあり、会釈する程度だったという。

 それから5年後――高校歴代最多とされる111本塁打を積み上げ、2人は再びプロの世界で交わることになった。清宮は将来、アメリカ・メジャーリーグでの本塁打王を目標に掲げている。その点でいえば、日本ハムはポスティングシステム(入札制度)でダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)、大谷翔平(現ロサンゼルス・エンジェルス・オブ・アナハイム)を送り出しており、清宮の夢の実現を後押ししてくれるだけの下地はある。

 「素晴らしい選手が育っている。その点は他の球団より印象があった。自分も同じように、それ以上に成長する環境に入ることができる」と話す清宮。そこで「成長する環境」を作り出している栗山監督は、大谷が在籍した5年間でどのような指導をしていたのだろうか。

 

日本ハムが提示した「大谷育成プラン」の資料に書かれていたこと

 大谷は岩手県の花巻東高校から12年のドラフトで日本ハムから1位指名された。こう書くとなんだか普通の出来事のようだが、実際には、大谷は「メジャー入り志望」だったところを、日本ハムが強行で指名したのだ。前年は東海大学の菅野智之(現巨人)を1位指名したものの入団を拒否したため、「2年連続でドラフト1位指名選手に袖にされてしまう」事態ともなれば、日本ハムの上層部の1人や2人はクビが飛ぶことだって覚悟しなければならない。

 指名直後、大谷の態度は… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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