小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」(第4回)

追悼、星野仙一。拳に秘められた思いとは

2018.02.09 Fri連載バックナンバー

 2018年1月4日午前5時35分、元中日のピッチャーで、中日、阪神、楽天で指揮を執った星野仙一氏が、すい臓がんのため70歳で死去した。野球への情熱を死の間際まで燃やし続けた「闘将」の遺したものとはいったい何だったのか、あらためてひも解いてみる。

 

「鉄拳制裁」を裏づけるエピソードの数々

 「ずっと野球と恋愛してきてよかった。もっともっと野球に恋したい」――

 昨年11月28日に東京で開かれた星野仙一氏の「野球殿堂入りを祝う会」での星野自身のスピーチで発したセリフである。野球に育ててもらったからこそ恩返しをしたい――彼の偽らざる本音が、口をついた言葉だろう。

 現役時代、マウンドで雄たけびを上げながら打者を威圧し、監督となってからは強烈なリーダーシップで選手たちを引っ張ってきた。

 こうした「闘将」のようなイメージの一方で、「暴力的」「スパルタ」とったダーティな印象もつきまとった。監督時代は、気の抜いたプレーをしようものなら、鉄拳制裁を加えている、というたぐいの噂話がよく流れていた。

 だが、これは噂ではない。星野の鉄拳制裁は本当にあった。とくに血気盛んだった40代前半の頃は、それが顕著だったのだ。

 星野が中日の監督を務めていた90年代、レギュラー捕手の中村武志が試合中にベンチに呼ばれた。ランナーが塁上にいたわけでもなく、とくに試合を止めて指示を出すような場面でもない。

 いったい何事だろうと、相手チームの選手が不思議に思っていると、グラウンドに戻ってきた中村の姿を見て驚がくした。… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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