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甲子園の「サイン盗み」騒動に見る“マナーを守ること”の価値
2019.04.27

小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」第32回

甲子園の「サイン盗み」騒動に見る“マナーを守ること”の価値

著者 小山宣宏

 ビジネスシーンでは、業界特有の「マナーを遵守することを優先すべき」か、それとも結果を出すために「マナーをあえて無視すべき」なのか、とかく問題になりがちである。

 3月に行われた第91回高校選抜野球大会(以下センバツ)でも、まさにこの問題が起きた。二塁のランナーが捕手のサインを盗み、バッターに伝達する「サイン盗み」を巡る騒動である。

 高校野球では、サイン盗みは「マナー違反」であると明文化されている。しかし、違反した当人に対するペナルティがないため、 実際は“やったもの勝ち”のような状況にある。

 なぜこの騒動は起こったのか? そして、こうしたトラブルを防ぐためにはどうすれば良いのだろうか? 長年、高校野球の現場を取材してきた筆者が、取材結果を元に提言する。

 

決勝よりも注目を集めた第2回戦

 平成最後のセンバツで優勝したのは、センバツ史上最多となる56勝目を挙げた東邦高校(愛知)だった。 けれども、結果とは別に注目を集めたのは、相手の習志野高校(千葉)と星稜高校(石川)が対戦した2回戦だった。

 この試合は3対1で習志野が辛くも勝利したが、試合後のインタビューである問題が起きた。星稜の監督が「習志野のランナーが二塁に行くたびに捕手のサインを盗み、バッターに伝達していたのではないか」と主張し、インタビュー後には習志野側の控室に足を運び、監督に直接抗議するという、前代未聞の事態へと発展していった。

 なぜ習志野は「サイン盗みをしている」と指摘されたのか――。私が聞いた情報によると、星稜の監督は… 続きを読む… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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