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イチローの28年の現役生活を支えた「2つのルーティーン」
2019.04.16

小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」第31回

イチローの28年の現役生活を支えた「2つのルーティーン」

著者 小山宣宏

 シアトル・マリナーズの外野手、イチローが数多くのファンに惜しまれながら引退した。イチローが一流のメジャーリーガーとして活躍し続けられた理由を、「試合前」「試合後」のルーティーンにスポットを当てて、分析していきたい。

 

平成のレジェンド、イチローの引退

 2019年3月21日、東京ドームで開催されたメジャーリーグのオークランド・アスレチックス第2戦がイチローにとってのラストステージとなった。イチローは40歳を迎えるあたりから、「最低50歳までは現役を続けたい」と目標を語っていた。だが、その願いは叶わなかった。

 5打数無安打。1四球――。イチローにとって最後の試合、アスレチックス戦2試合の成績である。

 8回裏、ライトの守備位置から4万6451人の大観衆に見守られながら、イチローは三塁ベンチに向かって走った。大歓声とまばゆいフラッシュの嵐のなか、「イチロー」コールは鳴り響き、「背番号51」は何度も両手を上げた後、ベンチ裏に退いた。

 日米通算4367安打を放った「平成史上最高のプロ野球選手」が、平成の終わりを迎える最後の年にユニフォームを脱いだ。

 1991年、オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)にドラフト4位で指名されて、イチローの野球人生はスタートした。

 デビューから3年後の94年に、プロ野球史上初、シーズン最多となる200安打を記録。その年から7年連続で首位打者に輝き、2001年にマリナーズに移籍してからは、10年連続200本安打、首位打者も2回記録した。

 2004年にはシーズン最多安打となる262安打を達成。2006年、09年に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では日本の2連覇に貢献するなど、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい活躍だった。

 イチローがここまで長く、第一線で活躍できた背景には、ルーティーンを大切にしていたことにある、筆者は考えている。

 イチローのルーティーンを語るとき、打席に立ったときの一連の動作は欠かせない。バットを下から大きく後ろへ振りかぶり、目の前で立てて遠くを見据え、ユニフォームの袖をグッと引き、ようやく打つ構えに入る。

「どんなに気持ちが揺れていても、いつも通りの作業をすることで、自然と打撃の気持ちに切り替えることができる」というのが、イチローの考え方だ。いかなる時でも普段通りに振る舞うことによって平常心を保ち、プレッシャーに対処してきた。

 だが、イチローが大切にしていたルーティーンは打席での動作だけではない。「試合前」「試合後」にも、イチローがこだわり、欠かさず行っていたルーティーンがあったのだ。

 

コンディションを維持し続けた「試合に入るまでのルーティーン」… 続きを読む… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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