2019年1月から2月にかけて開催されたサッカーのAFCアジアカップ(以下、アジアカップ)で、森保一率いる日本代表は、決勝にカタールに敗れ、準優勝となった。
しかし、「収穫」と「課題」が、これほど鮮明に出る大会も珍しい。サッカー日本代表が、2018年ロシアW杯から2019年のアジアカップへ至るプロセスを見るにつけ、そう感じずにはいられなかった。

収穫は「勝つこと」と「選手に経験を積ませること」
「新しい日本代表像を示してほしい」
ロシア大会後、日本代表の新監督に就任した森保一監督は、選手たちに対してそう言い切った。
森保就任後、日本代表は快進撃を続ける。2018年9月11日の国際親善試合の対コスタリカ戦を3対0で勝つと、その後4試合の親善試合は3勝1分。アジアカップでも6連勝を収め、決勝でカタール代表と対戦するまで、10勝1分という好成績をおさめた。
森保はアジアカップでは、「勝つこと」と「選手に経験を積ませること」を重視。24歳の南野拓実(オーストリア・ザルツブルク)、20歳の堂安律(オランダ・フローニンゲン)、同じく20歳の冨安健洋(ベルギー・シントトロイデン)を、大半の時間でプレーさせた。

アジアカップの6連勝のうち、1点差勝利はなんと5試合もあった。準々決勝で対戦した格下のベトナムに対しても、堂安のPKによる得点で、薄氷の勝利を得ている。
しかし、この試合後、10年近く日本代表でプレーする長友佑都(ガラタサライ)は、「結局、勝ったチームが強いということ。良いサッカーをしても、勝てないと意味がない」と、内容よりも勝利を得ることが重要であると言い切った。
アジアカップで、日本代表が「勝つ」「選手に経験を積ませる」という明確な方針を貫いた背景には、2018年のロシアW杯の結果が大きく影響しているだろう。… 続きを読む