2015年シーズンから読売ジャイアンツを指揮してきた高橋由伸監督が、今季限りでチームを去ることになった。巨人一筋を貫いた現役時代、抜群のバッティングセンスでチームを牽引した逸材は、なぜ監督として結果を残せなかったのか。これまでの采配を基に検証してみる。

とにかく接戦に弱かった2018年の巨人

 夏場以降、優勝争いに絡むことなく、それどころかAクラスに入るかどうかの争いをシーズン終盤まで繰り広げて、どうにか3位にもぐりこんだ。

 67勝71敗5引分。これが2018年シーズンにおける巨人の成績である。

 そしてもう一つ、目を覆いたくなる数字がある。

 12勝24敗――。こちらは1点差で勝敗が決した試合の成績である。

 2018年シーズンの巨人は、とにかく接戦に弱かった。原因はいろいろ考えられるが、その1つに「高橋監督の采配によるもの」があることは見逃せない。

 高橋は1998年に慶応義塾大学から逆指名で巨人に入団後、1年目から中軸を担う選手として活躍してきた。度重なるケガで戦列を離れることはあっても、不振で二軍に落ちるようなことは一度もなかった。そういう意味では、まさにスター選手であった。

 晩年は代打の切り札としてチームを支え、来年も現役続行……という矢先に、2015年オフに巨人の監督に就任。現役最後のシーズンにコーチ兼任でプレーしていたものの、実際は「選手から相談があったら、指導する」という範囲にとどめる程度だった。

 本格的な指導者としての経験がなく、また、野球解説者としてグラウンドの外から野球の勉強をせず、いきなり監督という大役を担うことになった。「来年もプレーしよう」と決めていた当人からしてみたら、戸惑いもあったに違いない。

 当時の巨人は、野球賭博問題に揺れていて、チーム内は浮足立っていた。そのうえ中心選手の阿部慎之助は現役生活の下り坂にさしかかり、選手としてピークを迎えようとしていたのは投手の菅野智之、野手では坂本勇人だけという状態だった。

 非常に難しい状況での監督就任となったが、3年目を迎えた今季、冴えを見せるどころか、「?」と、巨人ファンならずとも首をかしげたくなるような采配が目立った。

 

監督に求められる判断力、決断力とは

 監督に求められる能力は多岐にわたるが、とりわけ状況に応じた判断力や決断力は必須である。

 相手チームの力量もさることながら、得点差、アウトカウント、球場の広さ、風の有無、審判との相性など、さまざまな状況から「次はどんな作戦で行くべきか」の決断を下し、「すべての責任はオレがとる」という覚悟がなければ、監督は務まらない。

 こうした監督としてのスキルは、どのようにして身につけられるのか――。その答えは… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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