小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」(第11回)

メジャーでも、大谷翔平が活躍できた「3つの力」

2018.05.31 Thu連載バックナンバー

 ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム(以下エンゼルス)の大谷翔平選手が注目されている。異国の地で成功するには、環境に適応するだけの対応力が必要だ。なぜ、彼がここまで順調に成功を収めることができたのか、その秘訣について迫りたい。

 

「3つのキーワード」が、大谷を成功に導いた

 エンゼルスに移籍した大谷翔平の活躍が止まらない。今年3月のオープン戦では投打ともに成績が残せず、「二刀流は難しいのではないか」という厳しい声が、アメリカメディアの大方から聞かれた。

 だが、シーズンが開幕した途端に、そうしたネガティブな声は、大谷自身が封じた。投げてはメジャーの並み居る強打者を相手に三振の山を築き、打っては3試合連続ホームランに象徴されるように目を見張るべき数字を残している。

 なぜ大谷は戦前の予想を覆す結果を出せるようになったのか。打撃、投球、そしてメンタル面において、どのように自分を変化させたのか。あるいはその矜持を持ち続けられた理由とは何かについて分析すると、文化の異なる外国で成功するための「3つのキーワード」が浮かんできた。

 

【1】思い切って「打撃フォーム」を変えた

 文化の異なる外国で成功するための1つ目のキーワード。それは変化をためらわないこと、つまり「適応力」である。

 打撃面について、大谷は日本時代と比べて大きく変えた。具体的にいえば、ピッチャーとのタイミングを計るときに、日本ハム時代は「足を上げていた」フォームから、「足を上げずにすり足に変えた」わけである。

 大谷はオープン戦では打率1割台、ホームラン、長打ともにゼロの散々な成績に終わった。それを見かねたエンゼルスのエリック・ヒンスキー打撃コーチは、開幕3日前の3月26日、大谷にある提案をした。

「足を上下させることで頭の位置が動いてしまっている。足を上げないことで頭が動くのを失くせば、ボールをより正確に見ることができるんじゃないか」

 そうアドバイスされ、大谷はヒンスキー打撃コーチの言う通りのスタイルで打撃練習に取り組んだ。

 アメリカの投手は、日本の投手と違ってストレートが「一直線に伸びるような真っすぐ」が来ない。いわゆる「ツーシーム」という、ボールの縫い目にかけずに投げるがゆえに横に曲がったり、縦に滑り落ちたりと「不規則な真っすぐ」となる。だから、打ちに行ったときには頭の位置を動かさずに、できるだけ打者の手元でストライク、ボールの見極めをすることが大切なのだ。

 その成果は早くも出た。… 続きを読む

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小山宣宏

小山宣宏

スポーツジャーナリスト

1973年千葉県出身。出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年は高校野球やプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『名将の条件』(野村克也/SBクリエイティブ)、『3000安打の向こう側』(松井稼頭央/ベースボール・マガジン社)などの書籍を手掛ける。

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