「ミドルエイジ・クライシス」という言葉をご存知でしょうか。「中年の危機」とも呼ばれ、40歳前後の世代が自分の人生を振り返り「このままでよいのか」と不安や葛藤を抱え、うつ状態になったりする、不安定な状態のことを指します。
なぜこの世代は、ミドルエイジ・クライシスに陥ってしまうのでしょうか。今回はその理由を探り、ミドルエイジ・クライシスから逃れる方法を解説します。
ゴーギャンもミドルエイジ・クライシスだった?
ミドルエイジ・クライシスという言葉を知らなくても、「ゴーギャンコンプレックス」という言葉を知っている人も多いかもしれません。ミドルエイジ・クライシスもゴーギャンコンプレックスも、いずれも40歳前後にありがちな心の葛藤をあらわす言葉です。
ゴーギャンコンプレックスは、フランスの画家であるポール・ゴーギャンを由来としています。ゴーギャンはもともと実業家であり、画家としてもフランスで活躍しながら、40代になると妻子を手放し、タヒチに移り住みました。
ゴーギャンに限らず、人間は40歳を越えると、こうした悩みを抱えがちです。仕事や家庭など守るものが増えている中で、「このままでよいのだろうか」という何とか現状を変えたいという欲求と、そうはいっても「どうにもならない」という現実の中で、葛藤が起こるのです。
人生を24時間と仮定し、この時期までを人生の午前とすると、40歳頃は、ちょうど正午にあたります。この世代に不満と欲求が重なるのは、これからの人生の“午後”に向かって、新たな指標が必要になるからです。がむしゃらに一生懸命やってきた人は、自分自身を改めて振り返るタイミングになり、これまでなんとなく生きてきた人も、このままでよいのかと焦りを感じるタイミングとなります。
もちろん、「本当の自分自身を取り戻したい」という欲求は、どの年代の人の心にもあるものです。しかし40歳前後になると、「まだ、今なら何とかなる」「これを逃したら先がない」と、精神的に追いつめられやすい傾向があります。「自分の人生このままでよいのだろうか」という不安、「自分は、今、幸せなんだろうか」という現状への不満、「やりたいことがまだまだある」このままでは終われないという焦りが重なり、現状を変えたいという強い衝動が生まれます。
具体的には、離職、転職、離婚のように大きく環境の変化を伴う行動に出やすくなります。最近は晩婚化が進んでいるので、「一生独身でよい」と思っていた人たちが結婚するといったケースも増えています。
しかし、その強い衝動が叶わない場合や、気持ちの整理がうまくできない場合、… 続きを読む