エリートビジネスパーソンを象徴する肩書きのひとつに、MBA(経営学修士)があります。社員個人が自ら取得する例もありますが、企業によっては、優秀な社員を海外の大学院に派遣し、MBAを取得させるというケースもあります。

 ところが近年、世界のエリート人材は、MBAよりも、アートスクールや美術系大学院で「美意識」を学ぶようになっているようです。ビジネス書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 』(光文社新書/刊)にて、そのように指摘されています。

 背景には、グローバル企業で幹部層に求められるスキルが、従来とは変わってきていることがあるようです。美意識がエリート人材に求められるスキルとどのように関係しているのか、本書から読み解きます。

 

なぜ現代のリーダーに「美意識」が求められるのか

 本書を執筆したのは、電通やボストン・コンサルティンググループを経て、現在は組織開発・人材育成事業を運営する会社に務める山口周氏です。

 山口氏は、フォードビザを始めとした名だたるグローバル企業が、幹部候補生を美術系大学院やアートスクールに派遣していることに注目。その理由を企業にインタビューしたところ、企業がリーダーに求められるスキルが変わってきていることに気づいたといいます。

 本書によれば、現代のように不確実で変化が激しい時代においては、これまで重視されてきた「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた「サイエンス重視の意思決定」だけでは、経営の舵取りができなくなりつつあるといいます。そして、適切な意思決定には、サイエンスに加えて「アート」思考が必要であり、そのために企業は幹部候補に美意識を学ばせている、という流れになっているといいます。

 しかし、なぜ従来の意思決定方法が通じなくなってきたのでしょうか。山口氏はその理由について、… 続きを読む

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矢野 慎二

矢野 慎二

フリーライター

IT系スタートアップでマーケターとして働いたのち、フリーのライターに。現在は地方からリモートでビジネス全般や新しい働き方、最新のテクノロジー動向などを中心に取材、執筆している。

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