弱冠30才の亭主が打つ蕎麦
神楽坂の路地裏にたたずむ小体な蕎麦店「蕎楽亭もがみ」。こちらの亭主である最上はるかさんは現在30歳。なんと26歳の時にこの店を構えた、新進気鋭の蕎麦職人だ。
最上さんが修業したのは「蕎楽亭」。飲食店が多く立ち並ぶ神楽坂界隈においても、「蕎麦ならばここ」と食通に支持される屈指の名店だ。その修業で身につけた味を堪能できるのが「蕎楽亭もがみ」である。

店の片隅には石臼と蕎麦打ち台が設置されており、福島県会津産の玄蕎麦を取り寄せて石臼挽きに。そして、毎日欠かさず約30食の蕎麦を打つという。
アルバイトもいるが、蕎麦打ちはもちろん、全ての調理は彼女一人が担当する。敏捷な身のこなしで蕎麦をゆで、天ぷらを揚げ、「やっと常連さんの顔と名前が覚えられてきました」とほほえんだ。
とにかく自分の店が持ちたかった
なぜ若き女性が蕎麦店をと尋ねたところ、最上さんが店を持つ夢を持ちはじめたのは高校生の頃からという。
「とにかくずっと自分の店がほしいと思っていたんです。当初はカフェとか考えていたんですが、成人してからお酒にも興味が出て、お酒を出す店もいいと思い始めました」
その道を決定づけたのは大学3年生の就職活動の時だ。
「自分の本当にやりたいことを改めて考えたときに、やはり店を持つことだと思ったんです」
その時考えたのは、和食で、酒に合い、万人に愛される料理。そして蕎麦・寿司・おでんに候補が絞られ、いろいろ熟考した末、蕎麦職人を目指すことを決めた。
「今は両親に応援されていますけど、当時は反対されましたね」
親心を考えればその気持ちもわかるが、その声に負けず修業先を探すべく蕎麦を食べ歩いたという。そして、ついに出会ったのが、… 続きを読む