近年、欧州連合でますます経済力を増しているドイツ。その国民に対し、私たちが抱くイメージとはなんだろう。勤勉で質実剛健? 日本人と似ているといわれるが、仕事現場を覗くと、確かな違いは存在する。
同僚はあくまで仕事仲間?
メディアアナリストのティエリー・ティクワント(29歳・フランス人)は、2年半前にパリの本社からドイツ西部のデュッセルドルフ(人口約60万人)にある支社に異動してきたばかり。言葉も通じない国で友達を作る方法を尋ねた。
「Facebookでデュッセルドルフにあるサッカーのグループを発見しました。毎週日曜日に誰でも参加できる集まりがあるんです。そこでエジプト人、メキシコ人、アメリカ人などとプレーしているうちに友達になりました。あとはアイリッシュパブでも他人と自然に打ち解けましたね」
しかしティエリーの話に同僚は出てこない。同僚はデュッセルドルフに来たばかりの彼に付き合ってくれないのだろうか。すると「ドイツ人の同僚とはたまにビールを飲みに行くぐらい」との返事が返ってきた。
デュッセルドルフの飲み屋街といえば旧市街。他都市の旧市街の夜は静かだが、デュッセルドルフでは水曜日から土曜日にかけて地元の社会人や学生でごった返す。特に有名な道は300メートルしかないラーティンガー通り(Ratinger Strasse)。短い道には居酒屋と売店が密集しており、室内だけでなく、外でもビールを片手におしゃべりを楽しむ人たちで賑わっている。このような場にティエリーは同僚と一杯しに行くこともあるが、長い飲み会はインターンシップに来ている学生たちとするだけ。仕事とプライベートの時間を切り離すドイツ人の傾向が窺われる。
一緒にサッカーをしているエジプト人の友人も、同僚についてこう語る。… 続きを読む