こんにちは。城メグリストこと城郭ライターの萩原さちこです。前回の松江城の記事はいかがでしたか?人気の城や話題の城にスポットを当て、魅せられる理由や感じたことを、時にビジネス視点も交えながらお伝えするこの連載。第19回は、犬山城(愛知県犬山市)です。
天守最上階から臨む極上の眺め
犬山城の魅力は、なんといっても眺望のよさ。天守最上階の廻縁(まわりえん、バルコニーのような渡り廊下)からは木曽川を一望でき、濃尾平野の見事な展望が楽しめます。廻縁は天守に必ずついているイメージもありますが、実際にはそれほど存在しません。風雨にさらされて腐朽しやすいため、室内に取り込まれたり、高欄(こうらん、手すりのような柵の部分)だけが飾りとしてつけられることが多いのです。犬山城の天守は、実際に外へ出てぐるりと歩ける貴重なもの。通り抜ける風が心地よく、時間を忘れます。
秀吉も入城した重要な城
この場所は美濃(岐阜県)と尾張(愛知県)の国境の城にあたり、対岸は美濃です。ですから、天守最上階で周囲を見渡せば、濃尾国境を制した気分にもなれるでしょう。晴天の日には、遠くに岐阜城、名古屋城(愛知県名古屋市)、小牧城(愛知県小牧市)まで見えます。夕暮れ時の、オレンジ色の空とキラキラ光る水面のコントラストもたまりません。
犬山城は国境にあるだけでなく、中山道と木曽街道にも通じることから、1537年(天文6)に織田信長の叔父にあたる織田信康が築城して以来、交易・政治・経済の要衝として栄えました。そのため、戦国時代には何度も激戦の舞台になります。
もっとも有名なのが、… 続きを読む