テレビが元気だった80年代には、わざとらしくバカバカしいけど、とにかく面白いドラマが人気を集めました。「おしん」や「スチュワーデス物語」、数多く作られたいわゆる「トレンディドラマ」などに胸躍らせた人も多いはず。世界に通用する魅力を持った、そんな「べたなドラマ」は実は経済戦略として大きな意味を持つコンテンツでもあるのです。
ドラマ市場は劣勢 しぼむ日本、ふくらむ韓国
ペ・ヨンジュン主演の韓国ドラマ「冬のソナタ」が韓流ドラマブームを巻き起こして以来、今年でちょうど10年になります。その間、多数の韓国ドラマが「冬ソナブーム」に乗って日本に上陸し、少なからぬ成功を収めました。最近では、一時ほどの熱狂はないものの、「韓流ドラマ」は一定のファンを獲得して、テレビの一ジャンルとして確立された感があります。
イ・ビョンホンが主演した「アイリス」の撮影地となった秋田県・県内10市町は今年度、続編の撮影支援のため、約8,000万円の予算を組みました。人気の高さから、観光客の誘致に役立つ、と考えたためです。
勢いに乗る韓国ドラマに対し、日本のドラマ市場は右肩下がりの状態が続いています。1970年代~1990年代にかけては、毎年のように最高視聴率30%を超える人気ドラマがいくつもありましたが、最近では15%を超えると成功と言われる時代に。
そんな日韓テレビドラマ市場の勢いをもっとも明確に表しているのが、時代劇ドラマです。韓国では現在でも多数作られていて、視聴率50%超えを連発した「朱蒙(チュモン)」や2012年の最高視聴率第2位に輝いた「太陽を抱く月」など、人気ドラマの約半分は時代物となっています。一方日本では、制作費がかかることから敬遠され、大半の民放で時代劇の制作を控える状態が続いています。
かつては日本にもあった「面白すぎる」ドラマ
韓国ドラマの特徴と言えば、展開が早く、破天荒で、わざとらしさもあるものの、とにかく面白いこと。かつて日本でも、80年代にはそんなドラマが人気を集めました。1983年にNHKで放送され、今秋、リメイク映画の公開も控えている「おしん」は、最高視聴率62.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という驚異的な数字を記録。翌年放送された「スチュワーデス物語」は、英語の試験で阿波踊りを披露するなど、ありえない展開の連続でしたが、30年たった今でもたびたび話題になるほど、当時の若者に大きなインパクトを与えました。またバブル期に合わせるように多数制作された「トレンディドラマ」は、… 続きを読む