Bizコンパス

コンテンツ戦略でリーマンを克服?米国の注目事例(2)
2013.03.18

今、企業に必要な新しい「マーケティングの考え方」第4回

コンテンツ戦略でリーマンを克服?米国の注目事例(2)

著者 中山 陽平

 前回は、River Pool And Spa社がどんな手段を用いてリーマン・ショックの中でも成長を続けたかについて書いた。今回はその続き、なぜ、そんなことが可能だったのか?についてだ。
※前回の記事を読まれていない方は、まずそちらをご覧頂きたい。

 

なぜ、コンテンツを作るだけで、競合の顧客を奪えたのか

 オンライン経由での売上アップを模索していた、アメリカの住宅向けプール販売会社「River Pool and Spa社」のMarcus Sheridan氏は、競合のサイトを食い入るように見ていた。そしてある時「どこの競合他社も、プールの導入費用を明確に掲載していない」ということに気がついた。

 そこで、氏は何を行なったか?それは費用関連の情報をサイトに掲載した、それだけだ。なぜなら単純に、導入費用については問い合わせも多く、WEBサイトに掲載しておくほうが良いと思ったからだ。

 ただ、ここで氏が他と違ったのは「200字程度で簡易的に記載するのではなく、1ページを使って、詳細に詳細に書いた」ということだ(現在のページ)。氏は意識していなかったが、これが1つのブレイクポイントだった。

 結果どうなったのだろうか?――なんと、驚くべき効果が上がったのだ。具体的には、48時間後に「fiberglass pool installation」というキーワードにおいてGoogleで1位となり、そこから100万ドルの売上が生まれた。

 これをきっかけとして「買い手が知りたいことを」「詳細にわかりやすくサイトに掲載する」ことの重要さと大切さと、そして売上への貢献度を氏は感じた。そして、一気にページの大量生産に取り掛かったのだという。

 この背景にはインターネットユーザーの特色がある。それを氏は自然とおさえていた。

 ファイバーグラス製のプールは決して安い買い物ではない。熟考を要する商品だ。そのため、

・セールスマンに接触する前に、自分で情報を集めたい
・選ぶ時の基準、失敗しない基準などを把握しておきたい
・価格感や、トータルでいくらかかるかなどを知っておきたい
・信頼できる人にアドバイスしてほしい
・アフターケアなども大切なポイント

などが大切なポイントとなる。似たもので言えばやはり新築住宅やリフォーム等だろうか。

 この状況において、WEBサイトのコンテンツはとても買い手に好まれる。なぜなら、見ているだけなら、営業をかけられる心配はほぼ無いからだ。したがって、売り手としては、コンテンツを使って、先ほど箇条書きにした「買い手が求めている情報を出す」ということが非常に大切なのである。

 例えば、

・ファイバーグラスプールの価格差はどこで決まる?
・プールを設置するときに、気をつけておかなければならない4ポイント
・メンテナンス性を忘れてはいけません
・こんな状況でもプールを設置できますか?QandA集
・弊社のプールと他社のプールの違い

などのコンテンツだ。プールだとわかりづらいかもしれない。ならばプールを「炊飯器」「電子レンジ」などに置き換えてみるといいだろう。どちらも似たような製品が多く、差がわかりづらい。

なぜ、コンテンツを作るだけで、競合の顧客を奪えたのか River Pool and Spa社は、こういったコンテンツを次々に公開していった。しかも800ページを超えるほどに。これによって、River Pool and Spa社のMarcus Sheridan氏は、企業のセールスマンではなく「ファイバーグラス製プールの専門家」として見られるようになった。よっぽどの理由がない限り、普通の人は「専門家」や「信頼できる人」から買う。こうやって、競合から顧客を奪っていったのである。

 

集客にもコンテンツは役立った(GetFound)

 また、この膨大なコンテンツは同時に検索エンジンからの集客にも大きく寄与した。… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

中山 陽平

中山 陽平

ラウンドナップ・コンサルティング 代表 /ウェブ解析士マスター

中小企業に対してWEB戦略コンサルを420社40業種以上経験。自身のコンサル・顧問サービス「ラウンドナップ・コンサルティング(http://www.roundup-consulting.jp/)」では営業ゼロで常時15社前後の顧客を抱える。また同時に「WACA認定ウェブ解析士マスター」として、企業にてWeb担当者の研修・教育を。
2006年から「WEB戦略ラウンドナップ(http//www.7korobi8oki.com)」にて、海外の最新マーケティング動向を発信。日本でいち早くGoogle Analytics公式認定個人に。 Google Adwords Professional資格も。

関連する事例記事はこちらからご覧になれます

IT事例ライブラリー

関連キーワード

SHARE

あなたへのおすすめ

コンタクトセンターはAIで“さらに”重要な顧客接点に進化している

2019.09.18

いま求められる“顧客接点の強化”第20回

コンタクトセンターはAIで“さらに”重要な顧客接点に進化している

AI法律相談窓口をオンラインで開設、アガルートのリーガルテック戦略とは

2019.09.17

いま求められる“顧客接点の強化”第19回

AI法律相談窓口をオンラインで開設、アガルートのリーガルテック戦略とは

実用レベルに達したAIを活用する「顧客接点DX」の未来

2019.09.13

いま求められる“顧客接点の強化”第18回

実用レベルに達したAIを活用する「顧客接点DX」の未来

AIコンタクトセンターなら「業務効率化と顧客満足度の向上」を両立できる

2019.08.23

いま求められる“顧客接点の強化”第17回

AIコンタクトセンターなら「業務効率化と顧客満足度の向上」を両立できる

企業と消費者の間にある「大きな溝」はどうすれば埋められるか?

2019.08.09

いま求められる“顧客接点の強化”第16回

企業と消費者の間にある「大きな溝」はどうすれば埋められるか?

過去にうまくいかなかった人にも見てほしい「最新クラウド導入方法」

2019.08.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第17回

過去にうまくいかなかった人にも見てほしい「最新クラウド導入方法」

DX実現のために乗り越えるべき“クラウド導入の壁”とは

2019.08.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第16回

DX実現のために乗り越えるべき“クラウド導入の壁”とは

終らないアラート対応に終焉を、ServiceNowとTenableが打ち出す脆弱性管理とは

2019.07.31

DXを加速させるITシステムの運用改革第9回

終らないアラート対応に終焉を、ServiceNowとTenableが打ち出す脆弱性管理とは

顧客対応最適化のため、マカフィーが取り組む「Call to Web」とは

2019.07.26

いま求められる“顧客接点の強化”第15回

顧客対応最適化のため、マカフィーが取り組む「Call to Web」とは

電話にメールにSNS……顧客対応に困ったら「Pure Cloud」が良い

2019.07.10

いま求められる“顧客接点の強化”第14回

電話にメールにSNS……顧客対応に困ったら「Pure Cloud」が良い