我が国の運輸・物流業界は、国内経済の悪化に伴う貨物量の低下や、製造業が製造拠点を海外に移転することによる空洞化のあおりをうけて、断続的に経営環境が悪化している。また旅客運輸業界においても、規制緩和によって生じる競争環境の変化によって、コスト競争力を余技なくされている状況にある。そのような環境下において、本寄稿では特に「貨物輸送」にスコープをあてて、国内の運輸・物流企業が今後どのような課題に取り組んでいくべきかを記載したい。
激変する物流業のマーケット環境
我が国の貨物物流は、リーマンショック以降、連続的に減少傾向となってきていたが、震災後の復興に伴う土木建設関連の需要から、2013年については多少の増加の傾向が見受けられている。しかしながら、長期的な視点では消費全体の伸び悩みや国内経済の成長の鈍化傾向から、マーケット全体の環境は厳しいものと予測される。

また、製造業がグローバル競争の流れの中で、大手企業の製造拠点のみならず、昨今は中堅以下の企業も含めて海外へ進出する傾向が見られる。そのため国内の製造過程で生じていた物流需要が縮小する傾向が、さらに進行している。… 続きを読む