間近に迫った「Windows XP」の延長サポート終了。OSのアップグレードや新しいPCへの入れ替えを行なうなど多くの企業が対応に追われている。だが、考え方によっては従来のパソコン(PC)運用体制を見直す好機でもあり、実際にこの機会を生かしてそれを実現した企業も少なくない。前回は1万5,000台のPCのOSをアップグレードした企業の例を紹介したが、今回はここ数年、話題になっている「VDI」を導入した企業について紹介する。
営業担当者の声に応えるべく「VDI」を検討
OSのアップグレードやPCの買い替えしか方法はないのか――。5,000台のWindows XP搭載PCを所有するB社は、Windows XPの延長サポート終了を機に、PC運用体制を見直すことにした。当初考えたのは、当時最新のOSだったWindows 7へのアップグレード。だが検討を進めていくうちに、それを行なうには手間と時間がかかることがわかった。しかもその手間と時間は、今後もOSのアップグレードのたびに必要となる。
「それにかかる作業負荷を減らし、もっと経営戦略に結びつく業務を行ないたい」「外出時にノートPCを持ち出して使いたいという営業担当者の要望に応えたい」。こう考えたB社の情報システム部門は、PC運用体制を今一度見直し、VDI(Virtual Desktop Infrastructure/デスクトップ仮想化インフラ)の導入を検討するに至った。
VDIとは、デスクトップ環境を仮想化してサーバー上に集約したもの。利用者はクライアントPCからネットワークを通じてサーバー上の仮想マシンに接続し、デスクトップ画面を呼び出して操作する。
情報システム部門にとっても、VDI導入によるメリットはある。VDIにすれば、今後もOSのアップグレードのたびに設定変更などを行なう必要がなく、手間と時間を削減できるのだ。

PCの将来ビジョンを鑑みて「クラウド型VDI(DaaS)」に決定
VDIの手法にはオンプレミス型とクラウド型の二つがある。前者は自社にサーバーを用意する必要がある。他方「クラウド型VDI」と呼ばれる後者は、エンドユーザーが利用するPCなどのクライアント環境をクラウド上のサーバーに集約し、必要に応じてPCから呼び出して利用するもの。基本的に自社でサーバーの設置や管理を行なわず、専門の事業者からサービスとして購入する。
VDIを導入するにあたりB社は、会社で保有するPCの将来ビジョン(To be)を策定した。まずは要望の多い営業部門からのVDI導入になるが、順次、ほかの部門にも広げていくことを決めた。今後、VDIを拡張していくことを考慮すると、オンプレミス型よりもクラウド型VDIの方が適していると考え、導入に踏み切った。
クラウド型VDIのメリットとして、… 続きを読む