マイクロソフトの研究所がこのほど、AIを支える技術「マシンラーニング」(機械学習)を、小型コンピューター「Raspberry Pi」に組み込むことに成功しました。

 研究の目標は「機械学習モデルをリソースが制約されたデバイスにデプロイ(配置)する」ことで、要はAIの小型化です。現在、私たちが接するAIの多くはサーバ上で機能していますが、いずれ米粒のようなデバイスで利用できるようになるといいます。

 

ラズパイで庭のリスを撃退

 Raspberry Pi(以下、ラズパイ)は、クレジットカード大の組み込み型コンピューターで、ネットワーク機能や出入力インターフェイスを搭載しながら、数千円と安価なことで人気があります。このラズパイにAIを組み込んだのは、マイクロソフトの研究所マイクロソフト・リサーチのオファー・デケル氏らのチームです。

 デケル氏は機械学習の専門家で、チームは非常にコンパクトな機械学習のライブラリ「Embedded Learning Library」(ELL=組み込み学習ライブラリ)を開発して、ラズパイで動作させました。ELLは、ソフトウェア開発向けのウェブサービスGitHubで公開されています。

 機械学習を搭載したラズパイは、デケル氏の自宅の庭でも実験中です。庭にリスが出没して、花や球根を荒らすため、撃退用のシステムを開発して設置しました。画像処理機能をラズパイ上に実装し、カメラでリスを認識すると、スプリンクラーが自動的に作動して追い払います。

 一見、アマチュアの電子工作みたいですが、こうした組み込みデバイスAIには大きな意味があります。インターネット接続なしでもインテリジェントに動作するIoTを構築するための第一歩になるからです。

 

エッジコンピューティングの台頭

 ここ数年、クラウドが全盛期を迎えています。しかし、IoTの登場でデータが爆発的に増えていく中、今のクラウドでは“中央集権的”過ぎるという問題が浮上してきました。末端のデータを複雑なネットワークを経由してクラウドに送り、その処理結果の返りを待つのは効率が悪く、コストもかかるからです。

 そこで注目を集めているのが「エッジコンピューティング」です。データやアプリケーションの処理を、ユーザーに近い場所(エッジ)で行う仕組みで、ネットワーク帯域圧迫を防ぎ、遅延を抑えられるメリットがあります。

 マイクロソフトが目指しているのは… 続きを読む

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