大量のデータの蓄積から、適切な答えを導き出してくれるツールとして、人工知能(AI)の利用が広まっています。そんな中、IBMのAI「ワトソン」が、その能力を使って「リーダーの資質」を明らかにするという試みに挑戦しました。キャリアコンサルタント会社の米PaysaがIBMと共同で実施したものです。
データに基づいて、経営トップが持っている資質を探りました。個々の著名経営者の資質と性格の分析からは、意外な結果も出たようです。
書いた文章、話した言葉から性格診断
Watson(ワトソン)は、自然言語を理解して適切な回答するよう開発されたコンピューターシステムです。2011年に人気クイズ番組「ジョパディ!」で、人間のチャンピオンを破って賞金100万ドルを獲得したことから一躍有名になりました。その後、料理のレシピの創作やがんの診断などに力を発揮しています。
今回はワトソンの能力のうち、「人が書いたテキストから、書いた人の性格、欲求、価値観などを割り出す」技術「Watson Personality Insights」を使用しました。経営者たちのスピーチやインタビューを読み込んで、分析を行ったものです。なお分析には、2,500ワード以上のテキストが必要とのことです。
対象としたのは、エンターテインメント、ファッション、金融、法律、マーケティング、メディア、医薬、政治の8業界です。トップリーダーたちの語った言葉から、「知性」「自己主張」「快活」「権威への挑戦」「活発度」「用心深さ」「冒険心」「想像力」「謙虚」などの性格の強さを判定して、どういう性格がそれぞれの業界で大きな要素になっているかをランキングしました。
あらゆる業種に共通するトップの資質とは?
どの世界でも、必要な資質は概ね共通しているようで、8業界のうち7業界で「知性」が一番という結果が出ました。
Watsonが分析した結果、8業界中7業界でリーダーたちが最も高い性質となったのは「知性」だ。ビジネスにおける知性は、自分たちのビジネスを理解する能力としての知性だけではなく、曖昧な業界のイノベーションの中でかじ取りをしていくためにも必要な能力なのだ。
8業界のうち、唯一「知性」がトップでなかったのは… 続きを読む