クラウドでは、大切なデータを守るためのさまざまな工夫が凝らされています。最近では特に大規模災害への備えも重要視され、データセンターを海中に置いて、安全のほか、冷却問題までも解決していこうという計画があります。
そして、米国のベンチャーが、もっと大胆な構想を明らかにしました。大気圏外、宇宙空間に地球を取り巻くような形で、データセンターを配置しようというのです。インターネットさえ経由しない“究極”の安全データセンターとアピールしています。
人工衛星にデータを置く
「宇宙のデータセンター」をぶち上げたのは、ロサンゼルスのベンチャー、クラウドコンステレーションです。同社の5月17日の発表によると、複数の人工衛星で構成する超高速通信の宇宙データセンター「スペースベルト」を地球の周回軌道上に構築して、医療、エネルギー、メディア、金融機関など重要なデータを保持する顧客に向けてサービス提供する計画だといいます。
このデータセンターは、インターネットを経由せず、地上のユーザーと直接やり取するもので、レーザー通信を利用し、軽量・大容量のNANDフラッシュを搭載。エクサバイト(約105万テラバイト)からペタバイト(1024テラバイト)のデータを扱えます。“地上”のデータセンターと比べたメリットとしては、情報の盗聴や漏えいを防止でき、送受信もインターネットより高速にできるとのこと。また、地震、津波など大規模な災害からも安全だとしています。
同社のスコット・ソバーニCEO兼共同創設者は、発表で次のように述べています。
われわれは過去3年間をかけ、地球上のほぼすべての場所から、3分の1秒で、SpaceBeltにデータを送信して格納することを可能にする画期的な設計を達成した。グローバル企業にとって、それは、世界中のオフィスを相互に結ぶ宇宙のレーザーハイウェイ上に、データセンターのネットワークリングを得ることを意味する。比類なきデータアクセスとコントロールを提供するものだ。
同社は、この宇宙ベースのデータセンターの特許出願中ですが、システムのベータテストを2018年前半に行い、2019年までに少なくとも… 続きを読む