日本企業の多くが進出を図っているものの、国家的にはIT化があまり進展していないミャンマー。ミャンマーのIT環境の実情、また企業のみならず一般家庭におけるIT環境の構築に関する当面の課題を分析する。
ミャンマーの現状

日系企業が多く入居する、ヤンゴンのシンボル的オフィスビル「サクラタワー」
ミャンマー連邦共和国は、東南アジアに位置する共和制国家だ。北東に中国、東にラオス、南東にタイ、西にバングラデシュ、北西にインドと国境を接している。首都はネピドーだが、進出している日本企業の多くは旧首都であるヤンゴンに拠点を構えており、主要都市の1つとして活況を呈している。
ミャンマーは多民族国家であり、人口の6割を占めるビルマ族以外にも、いくつも少数民族が住んでいるのが特徴だ。
人口はおよそ6,062万人と大規模ながらも、名目GDPは550億ドルで人口一人当たりのGDPは824ドル。隣国であるラオス(1,204ドル)やタイ(5,395ドル)に比べると低い。2000年代に入ってから民主化を果たした国であり、今後の国家としての独立と発展をどのように進めていくのかが課題となってくる。主要な産業は、天然ガスをはじめとした資源の採掘や、農業・水産業など。国家の大半が熱帯又は亜熱帯に属し、気温や降水量は地域による差が大きい。
ミャンマーには日系企業も多く進出しており、80以上もの企業が商工会に入会し、隣国のラオスの46社に比べて多い。内訳としてはインフラ開発や内需型、労働集約型などが多く、安い労働力によって製造業を発展させていく狙いがある。
メコン地域の通信事情とミャンマーのIT事情

紙の台帳で出納作業を行なっている銀行職員
ミャンマーの国営銀行では、いまだに手書きによる紙の出納を行なっている。台帳が積み上げられた職場の様子や台帳作成の役職があるという事実を見るにつけても、まだまだアナログ中心の仕事環境だ。
通信環境としては、100人当たりの固定電話加入数が1.1回線、携帯電話加入数が2.6回線と、メコン地域全体としても低い。また、インターネット利用者が100人当たり1.0人、パソコン保有台数は100人当たり1台に満たないなど、こちらも電話と同様きわめて低い水準である。

通信事業者は、カンボジアなどは市場の開放が進み、外資も含めてプレイヤーは多岐にわたるが、ミャンマーは、政府資本による1社を中心とし、そこから民間事業者へ承認が行なわれるなど、まだまだ市場競争が図られていない。… 続きを読む