Bizコンパス

ネットワークトラブルに負けないバックアップ対策
2013.09.25

仮想事例から考えるIT環境のトラブル対策第4回

ネットワークトラブルに負けないバックアップ対策

著者 Bizコンパス編集部

 ネットワークは企業のIT環境を支えるインフラであり、トラブルが発生すれば業務に大きな支障が生じる可能性があります。それでは、具体的にどのようなトラブルが起こりえるのでしょうか。前回に引き続き、仮想事例を交えながら有効な対策について解説していきます。

 

ルーターの故障でVPNサービスが途絶

 物理的に離れた拠点間のネットワークを接続することを目的として、多くの企業で活用されているのがNTTコミュニケーションズの「Arcstar Universal One」やKDDIの「Wide Area Virtual Switch」といったサービスに代表される「VPNサービス」です。これは通信事業者が持つ独自ネットワークを利用してユーザー企業の複数の拠点間を接続するサービスで、安全かつ高品質なネットワークを低コストで利用できるメリットから、多くの企業で活用されています。

 ただ、VPNサービスでもトラブルによって通信が不可能になるケースがないわけではありません。前回は「アクセス回線の計画工事によって通信が止まってしまった仮想事例」を紹介しましたが、ネットワーク機器の故障が原因で別拠点への通信が不可能になるといったことも考えられます。具体的には、以下のようなケースです。

 関東一円に幅広く店舗を展開している流通業のA社は、本部と各店舗のネットワークを接続するためにVPNサービスを利用しています。各店舗に設置したPOSシステムからのデータ収集や商品の受発注システムへのアクセス、グループウェアによる情報共有などが主な用途です。

 ある日の夕方、そのVPNサービスを提供している通信事業者から情報システム部門に電話が入ります。電話の内容は「VPNサービスで使われているPE(Provider Edge)ルーターが故障したことで、通信障害が発生している」というものでした。担当者が慌てて状況を確認したところ、本部と全店舗の通信が不可能になっていることが分かりました。

 A社にとって頭が痛かったのは、各店舗から商品の受発注システムにアクセスできなくなってしまったことです。各店舗は営業時間後にPOSシステムを使って各商品の在庫量を把握し、その中で在庫切れになりそうな商品があれば本部に発注していました。しかし夕方にトラブルが発生して翌朝まで復旧しなかったため、結局その日は受発注システムを使って商品を発注できなかったのです。幸いにして大幅な売上ダウンにはつながりませんでしたが、A社の情報システム部員はネットワークトラブルへの対策が必要だと実感しました。

  この事例で出てくるPEルーターとは、通信事業者のネットワーク上に設置されている通信機器です。VPNサービスでは通信事業者のネットワークとユーザー企業の各拠点のネットワークをアクセス回線で接続しますが、PEルーターはそのアクセス回線を接続するための通信事業者側のルーターとなります。当然、これが故障してしまうと通信事業者のネットワークに接続できなくなるため、VPNサービスを使って通信することはできません。

 このPEルーターの故障への対策としては、拠点ごとに接続するPEルーターを変える、あるいは1つの拠点で複数のPEルーターに接続する「PEルーター分散」と呼ばれる方法があります。拠点ごとに異なるPEルーターに接続すれば、いずれかのPEルーターが故障してもほかのPEルーターを利用している拠点は通信可能であるため、トラブルの影響を抑えられるメリットがあります。また、1つの拠点が複数のPEルーターに接続する構成であれば、接続しているPEルーターがすべて同時に故障しない限り通信を継続できるため、よりトラブルに強いネットワークを構築できます。

ルーターの故障でVPNサービスが途絶

遠方で発生した自然災害で業務がストップ

 拠点間接続に利用されるのは、VPNサービスだけではありません。特にセキュリティや信頼性が重視される場面では、専用の回線を使って拠点間をダイレクトに接続する「専用線」が使われることもあります。具体的なサービスとしては、NTTコミュニケーションズの「Arcstar Universal One イーサネット専用線」やKDDIの「KDDI フレキシブル専用サービス」、ソフトバンクテレコムの「ULTINA Data Services」などが挙げられるでしょう。

 単純にコスト面で見ると、接続する拠点間の距離によって料金が変わるほか、拠点数が増えればそれだけ必要となる回線も増える専用線は、VPNサービスに比べて負担は大きくなります。一方で1本の回線を占有して使えるため、高いセキュリティや高信頼性が実現できるわけです。

 ただし、専用線といえども、トラブルとは無縁ではありません。たとえば、以下のような仮想事例が考えられます。… 続きを読む… 続きを読む

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