東日本大震災をきっかけに、自社のサーバーやストレージをデータセンター事業者の設備に預ける会社が増えている。BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)対策に加え、電力の安定供給を受けられる、地震による被害が小さいなどといった利点を期待できるからだ。震災以降、中堅企業にも、専用業者のデータセンターを利用するケースが徐々に増えてきている。しかし、中堅企業が専用業者のデータセンターを利用するメリットは多くあるのだ。
増え続けるIT管理者の作業量
IT化が進む日本の企業。中堅企業もその例外ではない。大半の中堅企業が会計業務や売り上げ集計業務などにおいてITを活用している。
だが、自社要員中心のIT管理体制には限界がある。セキュリティや災害時運用への対策の必要性を認識しながらも、有効な対策を講じることなくリスクを抱えながらIT機器や業務システムを運用している中堅企業が多いのも一方の現実だ。
IT管理者を増やせればいいのだが、そのための人件費をねん出する余裕はない。従ってIT管理者が多忙となり、突発的なトラブルシューティングなどに迅速に対応できなくなる。
そもそも自社内に空調設備が整い、停電・地震対策が取れ、十分なスペースを持つサーバールームを設けること自体、中堅企業にとって容易なことではない。
仮にそのようなサーバールームが用意できたとしても、IT管理者はIT機器を運用することに多大な労力をかけねばならず、ルーチンワークだけで手いっぱいになりがち。ましてやトラブルのたびに24時間365日、いつでもIT管理者が駆けつけて対応することは難しく、本来業務に支障を来してしまう恐れがある。多くの中堅企業は、災害など不測の事態の際にIT管理者の作業許容量をオーバーする危険を抱えているのだ。
こうした課題を解決するために中堅企業でも検討したいのが、専用業者のデータセンターの利用である。
コスト削減とIT管理者の負担軽減
自社でサーバールームを持つ場合、UPS(Uninterruptible Power Supply/無停電電源装置)や非常用発電機を備え、空調設備を整え、セキュリティにも配慮する必要がある。どれかひとつでも欠けていると、システム停止や重大なセキュリティ事故を引き起こす可能性がある。どちらの場合も、起こった瞬間にビジネスの生命線が絶たれてしまう。当然、これらすべてに対応するには設備コストだけでなく、サーバールームを運用するための人的コストも膨大なものとなる。
では、IT機器を自社のサーバールームに置くのではなく、専用業者のデータセンターに預けてみたらどうだろうか。データセンターにはIT機器を運用するために必要とされる設備がすべて整っており、しかもそれぞれの設備が高い信頼を置けるものになっている。また、建物自体が免震構造になっている場合が多く、地震対策にも有効だ。
さらに専門のスタッフが24時間365日運用管理しており、バックアップやIT機器の監視、故障対応などといった運用・保守業務も任せられる。不測の事態がいつ起きても対応できる体制も整っているのだ。
これだけ多くのメリットがある専用業者のデータセンターだが、中堅企業での利用はまだ少ない。その要因となっているのがコストである。
しかし、今一度考えてもらいたい。高信頼の設備と専門スタッフを揃える専用業者のデータセンターを利用することは、自社でデータセンターを持ち、信頼性がそれほど高くない設備に人件費をかけて運用するよりもトータルで考えると割安になるのではないだろうか。しかも自社のIT管理者の負担を軽減することもできる。
ほかにも大切なことがある。専用業者のデータセンターを利用することで… 続きを読む