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今後さらに便利な世の中へ。IoTでは何ができる?
2020.12.01

DX推進に必要なテクノロジー

今後さらに便利な世の中へ。IoTでは何ができる?

著者 Bizコンパス編集部

 IoT(モノのインターネット)の活用によって、モノとモノがネットワークでつながり、モノや場所の状態、それを利用している人の行動などの情報を収集できるようになります。それらのデータの活用は、デジタルテクノロジーによってビジネスを変革させるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にも不可欠です。競争力のある企業であり続けるためには、IoTの活用は必須となっていくでしょう。

 今回の記事では、IoTの基本知識や実現できることを確認しながら、課題であるセキュリティ対策などにも触れていきます。

IoTとは?意味や仕組みを紹介

 IoTとは、「Internet of Thing」の略で、直訳すると「モノのインターネット」となります。

 これまでインターネットに接続されることのなかったモノ、たとえば自動車などをインターネットに接続し、活用しようといった考え方です。

 IoTが注目される以前にも、「M2M(Machine to Machine)」というモノ同士を接続する技法がありましたが、M2Mは機械同士がセンサーなどでやり取りをするもので、IoTはモノ自体がインターネットに接続できる状態にあるため、ネット上で情報の交換をできることが特長です。

 IoTを利用することによって、遠隔地からモノの計測・制御をしたり、モノ同士で通信を行うことが可能になります。そのため、さまざまな分野での活用が期待されています。対象となるのは、センサー・カメラ・無線通信などが搭載されているモノです。IoTによってモノの状態を感知してデータを取得し、それらの情報をインターネットを通して人やモノに伝達することが、IoTの基本的な仕組みです。

IoTが注目されているワケ

 M2Mのような技術が存在していたため、IoTはまったく新しい概念というわけではありません。昨今注目されているのは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)と深い関わりがあるためです。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、ビジネスにデジタル技術を取り入れて、生産性や業務効率を高め、時代の流れ(ユーザーの消費行動の変化など)に取り残されない競争力のある企業になろう、という取り組みです。

 DXには、5GやAI、IoTといったデジタルテクノロジーの活用が欠かせません。IoTを活用することで、既存業務の自動化や効率化、ニーズの把握などが可能になるため、社内環境をアップデートして社員の業務効率をアップさせたり、時代の流れに沿った製品やサービスを開発・リニューアルしたりすることが可能となるのです。

 製品がIoT化することによって、企業は製品を製造・販売するだけでなく、インターネットを通じて製品上で利用されるアプリケーションやクラウドサービスなどを継続的に提供できるようになります。そのためIoTは、あらゆる産業で導入の動きが活発化しているのです。

IoTによって出来ること

 近年注目を集めているIoTによって、これまで実現し得なかったことが可能となります。具体的に、どのようなことができるようになるのでしょうか。代表的なものは、以下の3つです。

■ モノの状態・状況を把握する

 IoTで実現できることでまず挙げられるのが、「モノの状態・状況を把握」できることです。モノに搭載されたセンサーから情報を取得し、インターネット経由で送受信することで、モノやそれを利用する人などの状態を把握できます。

 たとえば、エアコンの場合、IoTによって外出先から自宅の室内温度や稼働状況を確認したり、電源を落とすこともできます。エアコンを消し忘れて外出してしまった際も便利です。

 ペットの首輪をIoT化すれば、運動量などのデータを取得し、遠隔地からでもペットの健康状態を把握できます。

 ビジネスの場面では、ユーザーの製品やサービスの利用頻度や利用時間などを収集できるため、そのデータをもとにして製品やサービスの改善などに活用できます。

■ モノの状態を管理し自動で操作する

 温度センサーや湿度センサーから収集したデータを活用すれば、「特定の温度になったらエアコンを稼働させる」「雨が降ってきたら雨戸をしめる」など、設定した条件に応じてモノを自動運転させることもできます。

 農業の分野ではIoTを活用して、ドローンを利用し効率的に農薬をまいたり、農作物への水やりの頻度を自動調整するなど、農業従事者の高齢化や人手不足問題の解決を後押ししています。

■ モノの動きを検知し通知する

 IoTには、モノや人の動きを検知する機能もあります。工場内やビニールハウス内の温度や湿度を検知したり、バスや電車の運行状況をバス停や駅のホームで待つユーザーにリアルタイムで通知できます。外出時に自宅で不審な動きがあった際にスマートフォンなどに通知をしたり、モノが転倒したら警告音を鳴らすといったことも可能になります。

 モノの状況・計測数値の動向・人の動きなどをリアルタイムで把握できるため、たとえば工場の生産ラインが緊急停止するなど不測の事態に陥ったとしても、迅速な対応が可能となる点も、IoT導入があらゆる産業で推進されている理由です。

IoTを導入する際、セキュリティリスクには注意する

 IoTによってインターネットに接続できるモノが日々開発されている昨今ですが、ネットワークにつながるモノが増えることで、サイバー攻撃などのセキュリティリスクも高まることになります。

 たとえば、スマートフォンなどでのビデオ通話や遠隔で赤ちゃんを見守れるベビーモニターなどは、「個人的な映像」を「ネット上に流している」ということになります。IoT機器の設定の不備や機器の脆弱性が原因で、これらの映像を他人に見られてしまう可能性もあるのです。

 企業の場合は、使用されるIoT機器の数が多くなるため、セキュリティ対策が不十分なケースもあります。工場内センサーや監視カメラの脆弱性を狙われて、機密情報の漏えいが起きるかもしれません。

 5Gなどネットワークの進歩によって、いまや車もネットにつなげて自動運転をさせようとしている時代です。仮に車の制御システムがハッキングされ、ブレーキがきかなくなったり、ハンドルを勝手に操作されると、重大な事故を引き起こす可能性もあります。

 そういった中ですぐにできるセキュリティ対策は、「Wi-Fiルーターのセキュリティ設定を行う」「IoT機器のセキュリティ機能をチェックする」「収集対象となる情報の種類を知る」という3つです。

 IoT機器にとってインターネットの出入口となるWi-Fiルーターのセキュリティは、通信の暗号化でより強度のあるWPA2、WPA3を指定することや、管理者のアカウントの設定を初期設定ではなく独自設定にすることが、セキュリティ対策となります。

 そして、IoT機器の使用前に取扱説明書をよく確認し、「認証ID/パスワードの初期設定を変更する」「ファームウェアを自動で最新にする」といった、セキュリティ設定を見直すことが必要になります。

 セキュリティ面に配慮が行き届いたIoT機器を最初から選択するのも一つの手です。たとえば、IDとパスワードを入力すれば認証なしでログインできてしまう機器や、セキュリティ強化プログラムが自動更新されないといった機器は、選ばないほうが良いでしょう。

 最後に、使用中のIoT機器がどんな目的で、どういった情報を収集しているのかを把握しておくことです。企業側のミスでユーザーの情報が漏洩した場合の適切な対処方法も、あらかじめ考えておく必要があります。

IoTの活用事例を紹介

 昨今、IoTを取り入れる企業は多くなってきました。IoTによって業務効率化や事業を成長させることはもちろん、セキュリティ対策へも力を入れている事例を紹介します。

■ 株式会社大林組

 大手総合建築会社である株式会社大林組は、事業戦略の一つとして「現場就労環境の改善」を掲げ、2016年よりNTTコミュニケーションズ株式会社とIoTを活用した作業員向けの安全管理システムの実証実験を進めています。

 具体的には、現場の作業員が着用したウェアラブルセンサで心拍数を取得し、人体に影響を与える湿度や気温などのWBGT値(暑さの指数)を計測、クラウド上で共有。作業員一人ひとりの健康状態を管理し、安全な労働環境を整えるといった取り組みです。

 野外作業の多い建築現場では、全産業の中でも熱中症のリスクが高く、気候変動による温暖化により、ここ数年では5月からすでに熱中症患者が出ている状況です。大林組は、IoTやITを活用した安全管理システムの導入によって、作業員の体調を「見える化」し、客観的な状況判断・休憩指示ができるようになったのです。

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■ DMG森精機株式会社

 工作機械の総合メーカーDMG森精機株式会社は、工場設備の稼働監視にIoTを導入しました。それによって設備の稼働状況から組み立て作業の進捗、どの作業者が何の作業にどれだけの時間を費やしているかといったデータの収集・可視化が可能になりました。

 そのような中で重要性が高まってきたのが、セキュリティ対策です。IoTによって工場の機器がインターネットやパートナーのシステムとつながることになり、万一それらに脅威が侵入すれば、重要情報の漏えいや生産停止といった深刻な事態につながるリスクがあったのです。

 そのためDMG森精機は、工場からセキュリティ対策の強化に乗り出しました。社内システムと工場内システムを分離し、双方の間の通信を監視・制限することで、脅威の侵入・拡散リスクを極少化したのです。

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■ 有限会社春華堂

 「うなぎパイ」で知られる有限会社春華堂の配送トラックは、車体に看板商品が大きくデザインされており、自社ブランドの“走る広告塔”とも言える存在です。そのため同社ではかねてより社員に対して安全運転の指導を徹底して行っていました。

 しかし、配送トラックをはじめ30台以上の業務用車両が稼働しているため、軽微なものとはいえ、年に数件の交通違反や事故が発生していました。指導を受けた社員の運転の詳細までは把握できないため、指導による改善や効果を確認する方法がないという課題がありました。

 そこで春華堂はIoT車両運行サービスを導入します。これは通信機能やGPS機能を内蔵した小型車載器を搭載し、車両の位置情報、急加速、急ブレーキ、速度超過などの運転状況をリアルタイムに把握できるサービスです。同社ではIoTの活用により安全運転の仕組みをつくり、無事故という成果を出しています。

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「5G」の普及でIoTはさらなる進化を遂げる

 IoTがさらなる進化を遂げるために必要不可欠なのが、「5G」の普及です。5Gとは「5th Generation」の略称で、日本語では「第5世代移動通信システム」と表記されます。現行の4Gをさらに進化させたもので、「超高速通信」「低遅延」「多数同時接続」が大きな特徴です。

 大容量データを、タイムラグなく、よりリアルタイムで送受信できるシステムで、たとえばIoTの一環である車の自動運転での活用も期待されます。車同士の通信に5Gが採用されることによって情報の送受信が高速で行われ、周囲の車の状況を瞬時に把握できるといったことなどからは、5GがIoTを進化・加速させているといえるでしょう。

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IoTの今後の課題とは

 日本企業をデジタルトランスフォーメーション(DX)させるのに欠かせないIoTですが、解決しなければならない課題も存在します。

 まず、IoTに対応できるIT人材の確保にコストがかかること。企業がIoTを活用した製品やサービスを開発するには、IoTについての専門知識や技術を持ったITエンジニアが必要です。しかし、スペシャリストを揃えるためには採用や育成のために時間もコストもかかります。

 さらにIoTが普及した後は、ユーザーがIoT機器を正しく使用しなかった場合に起こるヒューマンエラーにも気をつけなければなりません。IoT機器は、使用前にユーザー側で通信などの設定を行う必要がありますが、もしその設定に誤りがあった場合、情報漏えいなど取り返しのつかない事故につながる可能性もあるのです。

時代の波に乗る企業になるために、IoT導入を

 IoTには、解決しなければいけない課題があります。セキュリティ面の強化も必須です。しかし、IoT導入により、時代の流れに沿った製品やサービスを開発・リニューアルしたりすることが可能となります。IoT導入の初期コストはかかりますが、遠隔地からモノや人の状態を把握し、的確な対処ができることで、時間や人的コスト削減につながり、業務効率の向上にもつながります。

 IoTによって得られるさまざまなデータの活用は、デジタルトランスフォーメーション(DX)による自社のビジネス変革にも不可欠です。時代の波に乗り、競争力のある企業であり続けるためには、IoTの活用は必須となっていくでしょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

 

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