昨今、IoTを取り入れる企業は多くなってきました。IoTによって業務効率化や事業を成長させることはもちろん、セキュリティ対策へも力を入れている事例を紹介します。
■ 株式会社大林組
大手総合建築会社である株式会社大林組は、事業戦略の一つとして「現場就労環境の改善」を掲げ、2016年よりNTTコミュニケーションズ株式会社とIoTを活用した作業員向けの安全管理システムの実証実験を進めています。
具体的には、現場の作業員が着用したウェアラブルセンサで心拍数を取得し、人体に影響を与える湿度や気温などのWBGT値(暑さの指数)を計測、クラウド上で共有。作業員一人ひとりの健康状態を管理し、安全な労働環境を整えるといった取り組みです。
野外作業の多い建築現場では、全産業の中でも熱中症のリスクが高く、気候変動による温暖化により、ここ数年では5月からすでに熱中症患者が出ている状況です。大林組は、IoTやITを活用した安全管理システムの導入によって、作業員の体調を「見える化」し、客観的な状況判断・休憩指示ができるようになったのです。
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■ DMG森精機株式会社
工作機械の総合メーカーDMG森精機株式会社は、工場設備の稼働監視にIoTを導入しました。それによって設備の稼働状況から組み立て作業の進捗、どの作業者が何の作業にどれだけの時間を費やしているかといったデータの収集・可視化が可能になりました。
そのような中で重要性が高まってきたのが、セキュリティ対策です。IoTによって工場の機器がインターネットやパートナーのシステムとつながることになり、万一それらに脅威が侵入すれば、重要情報の漏えいや生産停止といった深刻な事態につながるリスクがあったのです。
そのためDMG森精機は、工場からセキュリティ対策の強化に乗り出しました。社内システムと工場内システムを分離し、双方の間の通信を監視・制限することで、脅威の侵入・拡散リスクを極少化したのです。
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■ 有限会社春華堂
「うなぎパイ」で知られる有限会社春華堂の配送トラックは、車体に看板商品が大きくデザインされており、自社ブランドの“走る広告塔”とも言える存在です。そのため同社ではかねてより社員に対して安全運転の指導を徹底して行っていました。
しかし、配送トラックをはじめ30台以上の業務用車両が稼働しているため、軽微なものとはいえ、年に数件の交通違反や事故が発生していました。指導を受けた社員の運転の詳細までは把握できないため、指導による改善や効果を確認する方法がないという課題がありました。
そこで春華堂はIoT車両運行サービスを導入します。これは通信機能やGPS機能を内蔵した小型車載器を搭載し、車両の位置情報、急加速、急ブレーキ、速度超過などの運転状況をリアルタイムに把握できるサービスです。同社ではIoTの活用により安全運転の仕組みをつくり、無事故という成果を出しています。
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