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デジタルトランスフォーメーション(DX)について分かりやすく説明
2020.12.01

デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて

デジタルトランスフォーメーション(DX)について分かりやすく説明

著者 Bizコンパス編集部

 デジタルトランスフォーメーションとは、簡単に言うと、デジタルを活用して時代の流れに乗ろう、事業変革を起こそう、といった考え方です。例えば、紙ベースで処理していたものをデータ化し、一括管理するといったことも、業務効率化に繋がり、DXの一環となります。

 昨今では働き方改革の影響で、「業務は出社して社内でやらなければいけない」という風潮も薄れつつあります。2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、その考え方が色濃くなりました。変わりゆく時代の中で、消費者のニーズにも変化が出てきています。社外(自宅)での業務だからと、業務効率を落としていては、消費者ニーズに応え増収、ましてや企業の変革は望めません。

 今回の記事では、DXのメリットやデメリット、DXを推進する際のポイントなどを詳しく説明します。競争に取り残されず、戦い続けられるビジネスを確立するためにも、ぜひご一読ください。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、デジタル技術を活用し、激しく変化するビジネス環境に対応していくことです。

 経済産業省では、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)について“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”と、定義しています。

 要するに、ITを活用してビジネスに関わるものをより良くし、国内外問わず、優位に事業を進められるようにすること、ビジネスモデルを革新することを指す言葉で、ただ単にビジネスをデジタル化するだけではなく、そのデジタル化を通して企業のビジネスを変革しようといった考え方です。

間違えやすい「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違いについて

 DXと混同されやすい言葉に、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」があります。

 まず「デジタイゼーション」ですが、企業の営みにおいては、主に業務のデジタル化のことを指します。例えば、契約書や請求書など紙ベースだった書類の管理をデータ化したり、注文書の入力作業など定型作業をRPA(Robotic Process Automation)で自動化することなどを指します。

 「デジタライゼーション」もデジタル化するという意味では「デジタイゼーション」と変わりませんが、こちらは加えてデジタル技術を用いて、製品・サービスなどの付加価値を高めることを指します。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、業務などのデジタル化による業務効率化(デジタイゼーション)とデジタル技術を用いて製品やサービスの質の向上(デジタイゼーション)を通じて、企業のビジネスに変革を起こすことだと理解するとよいでしょう。

経済産業省がDXのガイドラインを策定している

 DXのガイドラインを策定しているのは、経済産業省です。昨今では、あらゆる産業においてデジタル技術を駆使した、これまでになかったビジネスモデルが構築されています。それによって、ビジネス環境も大きく変化しています。

 分かりやすい例がEコマースです。Amazonはインターネット上にプラットフォームを構築することで、商品をどこからでも注文することができるという、ショッピングスタイルを消費者に提供し、消費行動を変化させ、小売業界に大きな影響を与えました。

 こうしたビジネス環境の激変に取り残されず競争していく力を保持し続けるためには、各企業がDXを積極的に推進していかなければならないと、経済産業省は考えました。

 経済産業省は、DXを実現していく上で挙げられる課題や、それらに対応する策を明らかにするため、研究会を設置。研究会で行われた議論は「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」としてまとめられ、そのDXレポートでは企業の共通認識のためのガイドラインが必要であることが指摘されました。

 さらに経済産業省は「DX推進ガイドライン」を策定。このガイドラインでは、企業がDX 推進していくための経営のあり方や仕組み、各部署において新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセットの必要性、デジタル活用の推進をサポートするDX推進部門の設置などが必要である旨が説明されています。

DXのメリット

 企業がDXを推進することによるメリットは数多くありますが、ここでは主なものを3つ、ピックアップします。

■ 事業を成長させることができる

 DXのメリットは、事業ひいては企業を成長させられることにあります。DXが推進されれば、業務を統合・自動化し、効率化することなども可能となります。これにより、社員がビジネスで優先度の高い業務に集中することができれば、競争力や収益の向上も期待できます。こうした収益逓増を期待できるのは、DXに取り組むメリットでしょう。

■ BCP(事業継続計画)の策定・充足につながる

 新型コロナウイルスの渦中では、テレワークなどオフィス外でも事業継続ができるデジタル環境を整えていたか否かが企業の明暗を分けたと言っても過言ではありません。今後も災害や疾病流行などの事態は起こり得えます。業務やビジネスのDXへの取り組みはBCP(事業継続計画)の策定・充足につながると言えます。

■ 新製品・サービスの開発につながる

 DXに取り組むことは、新しい製品やサービスの開発にもつながります。例えば、自社サイトでのユーザー行動のデータ収集を自動化してビッグデータ化、AIで解析できる仕組みを作ることで、「ユーザーはこういった商品に注目する傾向にあるため、この分野の製品を強化しよう」など、新製品・サービスの開発に役立てることができるでしょう。また、開発だけではなく、製品やサービスの定期リニューアルなどでの判断にもビッグデータを活用することができます。

DXのデメリット

 企業に大きなメリットをもたらすDXですが、デメリットがないわけではありません。

■ 既存のシステムからの切り替えに時間がかかる

 DXを推進するために、長年使用してきた既存のシステムなどを一新することは、容易いことではありません。例えば、顧客データなどが社内でばらばらに管理されている場合には、社内の全データを整理、統一するところから始めなければいけません。こうした作業が発生した場合、新システムへの切り替えまでの時間や準備が必要になるでしょう。

■ コストが発生する

 DXを始めようとすると、これまでその企業になかった新しいシステムの導入などが必要になるため、コストがかかる場合があります。そのシステムの導入によってDXを推し進めても、すぐに良い結果が出るとは限りません。DX推進にあたっては、長期的な目線で事業計画を立てて臨むことが必要となります。

■ 人材が必要となる

 DXに取り組むためには、デジタル知識の豊富な人材の採用、もしくは今いる社員の教育が必要になります。しかし、そういった先進技術を学んだ人材の数は少なく、採用が難しかったり、教育に時間がかかることが課題です。

■ 社内での意識について

 DXを推進していくにあたり重要なことは、社内全体の意識改革です。しかし、デジタルではなく、紙ベースや手作業など、昔ながらのやり方にこだわる社員が、DXを進めていく上での障害になってしまう場合もあります。DX推進の中心となる経営陣やリーダー陣、それを落とし込まれる現場の双方の合意がなければ、スムーズにDXを推し進めていくことは難しいでしょう。

DXが求められる5つの理由

 メリットだけではなく、デメリットも存在するDX。そんなDXが、今なぜ、それほどに求められているのでしょうか。

■ デジタル化が進んだことによるビジネスの多様化

 働き方改革の一環で進行していたオフィス外でのテレワークは、新型コロナウイルスの影響で半強制的に加速しました。比較的スムーズにテレワークに移行できた企業は、日頃からDXを意識し、Web会議ツールやチャットツールなどの準備体制が整っていました。

 働き方改革が進み、就業意識などビジネスのあり方が多様化している昨今、With/Afterコロナの時代において、多くの企業にとってDXは欠かせないものであることは間違いありません。

■ 企業の競争力強化や事業成長のため

 あらゆる産業がデジタル技術を駆使し、新しいサービスを生み出したり、既存のサービスをリニューアルしています。これは、ビジネス環境の大きな変化です。この変化に取り残されることなく、競争力の強化・事業成長のために、業務の効率化やその先にある収益アップを意識したDXの取り組みが必要不可欠になるでしょう。

■ 2025年の崖問題

 経済産業省のDXレポートでは、仮にDX推進がうまくいかなかった場合、2025年から2030年にかけて最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるとされています(通称:2025年の崖)。例えば、既存システムのブラックボックス状態を解消できずデータ活用ができない場合、市場の変化に対応してビジネスモデルを柔軟・迅速に変更することができず、デジタル競争の敗者となってしまう可能性が高いのです。この2025年の崖を阻止するためにも、今、さまざまな企業でDXの推進が求められています。

■ 消費者のマインドの変化

 消費者の考え方も年々変化しており、それらに対応するためにDXを進めることが必要であると言われています。近年ではユーザーの多くが製品を買って所有することより、サービスを受けて得られる体験による満足感や、生活を豊かにすることを重視するようになりつつあるのです。「モノ消費」ではなく「コト消費」へ、ユーザーの嗜好が移っている中で、時代にふさわしい体験を提供するビジネスモデルへ移行するために、組織全体を変革していくことが必要でしょう。

■ 生産性の向上

 業務をデジタル化することによって、業務効率を向上させることができます。紙ベースのものをデータ化することにより、情報を一元管理したり、単調作業をシステムに任せたりと、我々の業務を効率化させるだけでなく、それによって空いたリソースをどう活用するかで生産性の向上にもつながります。

DX推進に重要な4つのポイント

 DXをスムーズに推進していくためには、押さえておきたい4つの重要ポイントがあります。

■ デジタルに精通している人物を、各部署に配置する

 例えば、全体朝礼などで代表者が「DXを推進するために、弊社では今後こういったシステムを導入します。使用方法は……」といったように、全社にDXを落とし込むことは難しいことです。

 これまで馴染みのなかった従業員が、デジタルツールをすぐに業務で活用することはできないでしょう。そこで、ITで何ができるかを理解している人材を各部署に配置し、チーム単位でDXを推進するために必要なデジタルシステムについて理解を深めることが、DX実現の近道となります。それと同時に、ビジネス変革で求められるシステム設計や開発ができる人材の配置も必須です。

■ 新しい働き方を導入し、従業員の生産性を向上させる

 昨今のコロナ渦では、テレワークなどのデジタル技術を積極的に導入し、自宅でもパフォーマンスを落とすことなく仕事ができる「新しい働き方」を推進することが、DXを推し進める鍵となります。育休中の従業員や外回りが多い営業職など、テレワークを必要としている人材の生産性を維持・向上させるためには、Web会議ツールやチャットツールなどは、最低限必要になるでしょう。

■ 日々デジタルツールを導入するなどして、社内をアップグレードしていく

 長年使った既存のシステムから新しいシステムに移行することは時間もコストもかかるため、日頃からこれまで通り人の手でやる業務と、システムに任せる業務を精査し、必要なものは少しずつシステムをアップグレードしていくことで、DXを推進できる社内体制へ移行できるでしょう。

■ 既存システムの見直しを行いながら新体制へ移行させていく

 社内の問題点を把握しないまま、比較検討もせず新しいシステムを導入してはいけません。すべてを一新するのではなく、既存システムの更改に合わせてデータベースのクラウドサービスへの移行検討を進めるなど、段階的な対応が、現実的なDXへの取り組みです。

DX推進に必要なテクノロジーについて

 ここからは、DX推進に欠かせない、関わりの深い代表的なテクノロジーについて紹介します。

■ IoT(モノのインターネット)

 IoTとは、「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」という意味です。これまでインターネットに接続されていなかったモノをインターネットに接続し、モノや場所の状態、人の行動などビジネスを変革させるために必要な情報を収集するができるようになります。

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■ AI(人工知能)

 AIがDXの中で果たす役割も、非常に重要です。DXは単なるデジタル化だけではなく、「デジタルを活用したビジネスや企業の変革」が目的となっています。IoTによって収集された膨大なデータをAIによって分析することで、ユーザーの嗜好を把握したり、新しいサービスや製品を生み出すことなどにつながります。

詳しくはこちら

■ 5G

 5Gとは、「5th Generation」の略。「第5世代移動通信システム」のことを指します。

現在広く使われている4Gよりもさらに高度な無線通信システムで、4Gから5Gになることで通信速度が約20倍にもなり、IoTやAIを活用した様々な取り組みが可能になります。

詳しくはこちら

■ クラウド

 DXを実現するためには、既存システムを新システムに移行するだけではなく、それぞれのシステムに応じてビジネス目標の達成に最適なテクノロジーと、そのテクノロジーをうまく利用・管理できるクラウドサービスを組み合わせて活用することが重要です。

■ RPA

 RPAとは、バックオフィスなどをはじめとする定型業務をロボットが代行する取り組みのことです。RPAの基本機能は、DXの「第一段階の業務プロセス改革における業務の自動化」です。RPAは自社内で構築や運用が可能なシステムであるため、市場環境や業務実態の変化があっても、柔軟にシステムを再構築することができます。

有名海外企業のデジタルトランスフォーメーションを活用した事例を紹介

 実際にどういったことに取り組めばDXを推進していると言えるのでしょうか。海外企業のDX事例を紹介します。

■ Google

 Googleが提供する「Google Duplex」は、DXの良い例でしょう。これは飲食店などの電話予約を、スマートフォン経由でAIが人間の代わりに電話をしてくれるというものです。これまで人手でしか解決できなかったさまざまなことがテクノロジーの導入によって解決され、それによってユーザーの利便性を向上させているのです。

■ Amazon

 Amazonは、事業のスタートが「本のオンライン販売」でした。書店で購入することが当たり前であった本を、店舗を持たずインターネットのみで販売。本の口コミや「今すぐ買う」といった簡単注文機能を設け、素早い納品を実現しました。倉庫が不要であることでの豊富な品揃え、簡単検索機能、口コミ、そして、実店舗で購入するかのようなスピーディな納品で、家にいながらにして、欲しい本がすぐに手に入るという、ビジネスモデルを形成しました。

■ Uber

 Uberは、AIを活用した自動車配車サービスでDXを推進している例です。サービスそのものがスマートフォンをはじめとするデジタル技術の活用を前提としており、2014年から経路検索エンジンにAIを取り入れ、相乗りサービスを開始しました。Uberのアプリを使って、自分の行きたい場所を指定、配車を希望すると、その時点で料金が提示されたうえで、配車される自動車の種類や、ドライバーの情報、到着時間などが明示されます。

有名日本企業のデジタルトランスフォーメーションを活用した事例を紹介

 日本でもDXを推進し、事業変革を成功させている企業は多数あります。DXにいちはやく着手している企業を、ピックアップして紹介します。

■ 株式会社クボタ

株式会社クボタは、水道などのインフラ提供事業での実績を生かし、SDGsへの取り組みの一環としてAI機械学習(ディープラーニング)による「ごみ焼却炉における蒸気発電効率を高める実証試験」を行っています。それによってどのような成果が得られたのでしょうか。

詳しくはこちら

■ 中部電力株式会社

 中部電力は、顧客、地域、コミュニティの課題を解決するエネルギーインフラとして、IoTプラットフォームを導入。人の手で行っていた設備点検をデジタル化し、点検データの「見える化」を進めています。中部電力はインフラ業界にどのようなDXを起こそうとしているのでしょうか。

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■ アフラック生命保険株式会社

 金融業界においてデジタル変革が比較的遅れているといわれる生命保険。アフラック生命保険は、お客様の医療データをライフイベントなどと融合することで、これまでにない商品やサービスを生み出そうとしています。生命保険におけるDXの最前線に迫ります。

詳しくはこちら

 事例ページには、そのほかの有名企業の事例も多数掲載しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、変わりゆく時代で生き抜く企業へ

 DXが推進されなければ、2025年以降には最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があるとされ、経済産業省もDXを強く推奨しています。時代の流れに沿った業務の進め方、事業展開を行っていかなければ、ビジネス環境の激変にふるい落とされてしまいます。一度にすべてを刷新する必要はありません。少しずつでもDXへの取り組みを始めることが、変わりゆく時代で生き抜くことができる企業になるための第一歩となるはずです。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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