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政府も推進する「データ利活用」とは?
2021.02.03

これからの時代に求められるデータの利活用

政府も推進する「データ利活用」とは?

著者 Bizコンパス編集部

 データ(ビッグデータ)を活用して「経営全般」「企画・開発・マーケティング」などの改善を行っている企業は多いでしょう。しかし、「データの使い方」によって、効果が出る企業もあれば出ない企業もあります。

 データ利活用は、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。データ利活用の基本を確認しながら、期待される効果や、データ利活用を行う際のステップを説明します。

総務省も推進するデータ利活用とは?

 データ利活用とは、その名のとおり「データを利用・活用する」という意味です。しかし、「データを得ることはできたが、得たデータを正しく使えない」という場合、成果が伴わないことがあります。

 こうした状況に対して、総務省は2018年に地方公共団体に向けて、データを正しく使い政策立案をしていこうという地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブックを発表しました。この、「データを正しく使おう」という意味で使われた言葉が「データ利活用」です。
※参考:総務省「地方公共団体におけるデータ利活用ガイドブック ver.1.0」

データ利活用における日本の現状

 現在の日本におけるデータの利活用状況は、eコマースなどによる販売記録、MtoM(M2M)から得られるデータ(機器同士がネットワークを通じて直接情報をやり取りし、高度な処理や制御を行うことから生まれるデータ)などの利活用において、2015年と2020年を比較すると大きく進展しています。

 例えば分析に活用しているデータについて、「アクセスログ」を利用していると答えた企業は、2015年と比べて約2倍になっています。とは言え、データの分析や活用、及びそれを担う人材は不足している現状もあります。
※参考:総務省「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書」

データ利活用の目的とは?

 企業におけるデータ利活用の目的はシンプルで、「自社により良い意志決定をするため」です。継続的に良い決断がくだせれば、最終的な結果も良いものになります。データを上手く利活用をすることによって、CV(コンバージョン)獲得・CV拡大・ブランドイメージ向上などにつなげることができます。

データ利活用で期待される効果とは?

 データ利活用には、自社のWebサイトに訪れたユーザーの購買行動などを把握できるWeb解析ツールや、営業プロセスや営業進捗を管理してくれる営業管理システム(SFA)などを利用することが多いです。

 それらによるデータ利活用によって効果が期待できる領域は、主に「経営管理・企画領域」「マーケティング領域」「サプライチェーンマネジメント(SCM)領域」に分けられます。

■ 経営管理・企画領域

 データ利活用によって、四半期決算や各事業別の投資リターンなど、企業財務の高精度な予測をすることが可能となります。データに基づく裏付けにより、各事業に対する経営資源の差配など、経営の意思決定をより精緻に行えるようになるでしょう。

■ マーケティング領域

 Web解析ツールや、マーケティング業務を自動化・分析するMA(マーケティングオートメーション)ツールの利用からデータ(例えば、ユーザーがどういったページでどのような行動を起こしCVにいたったかなど)を得れば、需要予測の精度を高めることができるようになります。ユーザーが自社にもたらす利益の向上、サービスへの解約率の低下などが実現できるでしょう。

■ SCM領域

 SC(サプライチェーン)とは、電化製品、衣服、食品など、製品の原材料や部品の調達から、製造、在庫の管理、配送、販売、消費にいたるまでの流れ全体を指す言葉です。SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、SCの流れにおけるモノやお金の流れの情報をSC全体で連携することで、需要と供給を予測し、在庫管理を最適化することが可能となります。

データ利活用を行う際のステップ

 データ利活用に有益なデータは、社内の様々な部門やシステムに存在している場合があります。これらのデータを分析、活用してビジネスに生かすためには、いくつかのステップが必要になります。ここでは、マーケティング領域を例に解説します。

(1) 社内で散在しているデータを可視化する

 まずは、社内で散在しているデータの可視化を行いましょう。例えば、先ほど触れたWeb解析ツールや、MAツールを利用し、ユーザーの購買行動やサイト上での動き、問い合わせの履歴などを整理します。この工程が、データ利活用の第一歩です。

 データの可視化においては、社内データを部門横断で分析、活用しようとしても「データがそれぞれの部門に散在していて必要なデータがどこにあるのかわからない」「フォーマットや形式が異なりそのままでは利用できない」といった「組織やITシステムのサイロ化」への対応も必要です。

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(2) 可視化したものから気づきを得る

 社内のデータを整理することで、気づきや課題点が見つかることも多いです。例えば「このページのユーザーの滞在時間が極端に短い」「ユーザーはこのSNSからサイトに流入しているのか」など、ツールを利用すれば一目瞭然です。流入や滞在時間など、CVに関係しそうなデータをピックアップし、重点的に確認していきます。

(3) 気づきからビジネス戦略を立てる

 データから得た気づきにより、ビジネス戦略を立てます。例えば、あるページのユーザーの滞在時間が極端に短いのであれば、そのページはユーザーの意に沿わないものなのかもしれません。

 流入が自然検索だった場合は、ページのタイトル・ディスクリプションと、ページの内容に乖離がないかの確認・場合によってはページの改修が必要です。流入がSNSからだった場合は、SNSでの宣伝を強化するという戦略も立てられるでしょう。

(4) プランを実行し、結果検証する

 データから得た気づきによって戦略を立て、それを実行した場合は、実行しっぱなしではいけません。

 ページを改修したのであれば、そのページでのデータに改善が見られるかを継続的に確認する必要があります。データが改善したのであれば、現行の戦略を続けていけば良いでしょうし、改善が見られないのであれば、また(2)に戻り、データを分析する必要があります。

 この繰り返しによって、サイトやサービスがブラッシュアップされていくのです。

データ利活用に必要不可欠な4つのポイント

 データ利活用を進めていくにあたり、必要不可欠な取り組みがあります。どれかひとつでも欠けてしまうと、単発的な取り組みにとどまったり、高度なITサービスを導入しても十分な成果につながらないことがあります。そうした状況に陥らないためにも、具体的には、以下のような4つの取り組みを行う必要があります。

■ 経営層が関与する

 データ利活用はトライアル&エラーが必要ですぐに売上などの成果につながらないケースもあります。そのため、経営層・マネジメント層の支援がなければ継続的にデータ利活用に取り組んでいくことが困難になってしまいがちです。

 データ利活用には複数部署の連携など、企業全体での組織的な取り組みが必要であることも多く、経営層・マネジメント層が積極的にデータ利活用のプロジェクトに関与し、コミットメントをしていくことが不可欠です。

■ 正しいデータを利用する

 データを利活用する際は、信頼性のあるものでなければいけません。そもそも自分たちが見ているデータが誤ったものであったり、数値があてにならないデータであったりするならば、分析結果も信憑性に欠けてしまいます。

 データ利活用をするには、正しいデータを集めるための労力を惜しんではいけません。あたりまえですが、不正確なデータからは不正確な学習結果しか得られません。そのためにも企業はデータ利活用において「データの整備」に最初に取り組む必要があります。

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■ データの分析・活用はスキルのある人材が行う

 データ分析はスキルや経験が豊富なデータサイエンティストやデータアナリストなど専門人材が担う必要があります。

 データ分析・活用の経験がない人材にいきなりデータ利活用を任せてしまうと、すぐに結果がついてこないからといって取り組み自体を諦めてしまう場合もあります。データ利活用は長期戦になる場合が多いことを理解していて、なおかつデータの分析・活用能力が高い人材に任せると良いでしょう。

■ 社内でチームを作る

 データ利活用において責任を負う専門のチームを社内で構築し、継続的にデータ利活用の取り組みを進める必要があります。

 データの分析・活用を本業とするチームを作れば、メンバーはデータ利活用を成功させることに専念できます。データ利活用とは単発の取り組みでは成果が得られないことがほとんどであり、業務の片手間で行える作業ではないため、専門チームを設けることが有効でしょう。

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データ利活用の課題

 一方で、データ利活用を進める上での課題も存在します。複数の課題が指摘されている中でも共通している課題とは、人材不足とパーソナルデータの取り扱いです。

■ 人材が不足している

 データ利活用で成果を出していくためには、分析したデータから有益な情報を導き出し、組織における課題解決に役立てることのできる人材確保が重要です。しかし、そのような専門的な人材は不足しています。

 データ利活用には、データ分析能力だけでなく、自社の事業や業務の課題を理解して、データの収集方法を考えたり、それをシステムに実装や運用をするスキルも求められます。そのため人材の採用や育成が難しい面があります。外部のデータサイエンティストにアウトソーシングする手段もありますが、データ利活用ができる人材は売り手市場であるため、委託コストが高騰していることがネックとなります。アウトソーシングするとデータ利活用のノウハウが社内に蓄積されないという課題もあります。

 もちろん、企業によって扱うデータの性質が異なるため、専門的人材がいなくとも、事業推進に必要な知見が得られる場合もありますが、高度なデータ分析を必要とする際は、それを担う人材を社内・社外問わず、いかに確保していくかが課題です。

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■ パーソナルデータの取り扱いが難しい

 データ利活用を行う企業にとって、より価値の高いデータを確保して分析に用いれば、得られる成果も高くなる可能性があります。ユーザーに直接紐づいたデータを活用できれば、ユーザーの属性や動向を直接的に把握でき、データの価値は高まります。

 しかし、ユーザーのパーソナルデータは、個人情報保護と活用のバランスを取っていかなければいけません。どの情報を保護し、どの情報を活用するかのリテラシーは、データ利活用の大きな課題となっています。

企業の取り組み事例について

 各企業はどのようにデータ利活用に取り組んでいるのでしょうか。企業の事例を紹介します。

■ メットライフ生命保険株式会社

 保険ビジネスは、従来、リスクの定量化を人が行っていましたが、昨今ビッグデータや機械学習が進化して高確度の予測と、今まで対象外だった物事のリスクの定量化が可能になり、ビジネスの領域が広がっています。

 メットライフ生命保険では、チーフデータオフィサーを中心に、データサイエンティストチームがデータを解析し価値化、データアセットをつくるチームが社内外のデータを集めて解析できるデータプラットフォームを用意、ガバナンスに配慮しながらデータを組み合わせやすいようにスキームやルールを統一などの取り組みを通じてデータ利活用を推進しています。

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■ 中外製薬株式会社

 データ利活用の推進において、各種データの統合・解析を担うシステム基盤だけではなく、データサイエンティストなどの採用や育成、社員の改革マインドを醸成する人財の強化が欠かせません。

 中外製薬では、全社のデジタル戦略を司るデジタル戦略推進部を中心に人財を強化。情報システム部や臨床開発本部、バリューチェーンを担う若手・中堅メンバーに加え、広告代理店出身者、他社でセキュリティやデータサイエンティストなどの経験を積んだキャリア採用組から精鋭が集められ、先頭を切って全社のデジタル戦略を推進していきました。

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データ利活用を行い、生き抜く企業へ

 データ利活用は、日本の企業がすぐにでも取り組むべき課題です。新しいサービスを始めるとしても、既存のサービスをブラッシュアップするとしても、経験や勘ではなく、データという裏付けのもとに意思決定をすることで、より成功に近づきやすくなります。

 データを収集・蓄積・分析する方法は多く存在します。自社に合った方法を模索し、今後の事業拡大の基盤にしていくことで、自社の成長につながる事業やサービスを生み出すことができるはずです。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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