時代小説の巨匠・池波正太郎原作。江戸にはびこる凶悪犯罪を取り締まる「火付盗賊改方」の長官をつとめている鬼平こと長谷川平蔵が主人公だ。若いころは手の付けられないどのワルだった鬼平が、元盗賊たちとともに江戸の悪を斬る!
名前だけで悪人が震え上がる「火盗改」長官
『鬼平犯科帳』の鬼平こと主人公・長谷川平蔵。放火や強盗殺人など、江戸の凶悪事件を専門に取り扱う火付盗賊改方という役職についている。この火付盗賊改方は実際に設置されており、長谷川平蔵も天明7(1787)年~寛政7(1795)年までの間、この長官に任命されている実在した人物だ。
物語のなかの長谷川平蔵は、若いころは手の付けられないほどの不良男だった。悪の世界を知り、だからこそ悪がわかる。すれ違った女性の足音がしないだけで、「ただ者ではない」と見抜くなど、その観察眼はずば抜けている。弱いものを傷つける悪人を許すことができず、「逆らう物は容赦せずに斬れ!」と、その場で斬るつけることも。悪人たちからは「鬼平」の名前を聞いただけで震え上がるほど恐れられているのだ。
一方、美味しい物を愛し、日陰に生きる女性たちにも優しい一面を持っている。妻の昔の色恋沙汰がきっかけで事件が起こるも、「俺の女だ」と妻をかばうなど男らしい。部下の失敗を自分の責任として受け取る懐の深さがある人物で、お頭と呼ばれて部下から親しまれている。某アンケートでは「理想の上司」の上位にランクインしたこともあるほど。
そんな鬼平を演じた人々は数多い。… 続きを読む