狭いようで意外に広い日本。土地に根付いた県民性には興味深い違いがたくさん見つかります。お付き合いする中でNGとなることや、知っていると喜ばれることなども多々あります。
本連載では「ビジネスに役立つ全国お国柄辞典」と題し、各都道府県における「知られざるルール」を紹介します。第4回は「宮城県」を取り上げます。
仙台牛タン、ずんだ餅 名物に歴史あり
東北地方の太平洋側に位置する宮城県の県庁所在地は仙台市。人口は約233万人(2015年2月時点)で、うち半分近い107万人が仙台市に居住しています。米どころとしても有名で、「ササニシキ」や「ひとめぼれ」は同県で開発されました。
宮城県の名物といえば、「仙台牛タン」が有名です。戦後の混乱期に、米軍が残したタンを安く手に入れて料理に工夫したのが始まりという説が有名ですが、どうやらこれは間違いのようです。
実際には、牛タンの先駆けとされるお店ではもともと地元産の牛タンを使っていました。ところが牛タン料理の人気が広がり、他にも多くのお店で提供するようになったため、安く大量に仕入れられる米国産がスタンダードになったのだとか。結果的に米国産が一種のブランドとされ、アメリカ牛にこだわるあまり、2003年末に狂牛病を懸念して輸入規制が行われた時には、廃業するお店も出たほどです。
同じく戦後の混乱期に生まれた名物に冷やし中華があります。今では全国区になった一品ですが、「暑い夏にヒンヤリ涼める料理はないものか」と仙台にある中華料理店主が考案したのが始まりとされています。盛岡の冷麺と覇を競う東北の二大冷たい麺と言えるでしょう。
一方、牛タンや冷やし中華が近代史なら、宮城県の名物には戦国時代にまで歴史をさかのぼるものもあります。… 続きを読む